(日経2024/6/7 山田昌弘 中央大学教授)

 

「変わる家族像 上ー社会保障制度を個人単位に」

 

若者が十分な収入を得られなくなり、これが未婚化、少子化の原因であることは再三指摘されていることですが、山田教授は、家族社会学の観点から、この他に家族のあり方が多様化していることも考慮すべきと警鐘を鳴らしています。

 

家族リスクとは、山田教授の講義によると、「今の80歳くらいの人は95%が結婚して、離婚経験者は1割程度で、再婚率も高かった。だが、今の若い人は4人に1人が生涯未婚で、結婚した3組に1組以上が離婚する。結婚して離婚せずに老後を迎える人は2人に1人もいない。」と話されています。

 

雇用リスクX家族リスクの要因により、若者のライフコースがリスク化しており、即ち、老後を迎えたときに、未婚、離婚、再婚、非正規、フリーランス、子供がいないケースが相当数発生することが予測されるということです。

 

よって、今の年金など社会保険制度を「個人単位」に抜本的に構築しなおさなければ、若者は不安の中で、ますます結婚や出産に慎重になり、少子化が深刻化するに違いない、と予想されています。 

 

小生の感想としては、既得権者の反対が強いこの国で、長期的な展望が失われ、日本国民の分断、それに伴う資産を持つ者と持たない者の間での新たな階級闘争が激化するのではないかと危惧しています。