数多くの企業不祥事発生を受け、日本取引所自主規制法人は、2016年2月24日に「上場企業における不祥事対応のプリンシプル」、2018年3月30日に「上場会社における不祥事予防のプリンシプル」を発表しています。
これらは原則を単に羅列しているように見えますが、構造的に理解する必要がありますので、以下に簡単に解説をしておきます。
<不祥事対応プリンシプル>
不祥事が発生した場合、企業が自浄作用を発揮し (※1)、速やかにステークホルダーからの信頼回復を図りつつ、確かな企業価値の再生を図る (※2)、というものです。
4つの原則が各々該当する箇所が異なりますので、留意する必要があります。
(※1)
1. 不祥事の根本的な原因の解明
2. 第三者委員会を設置する場合における独立性・中立性・専門性の確保
3. 実効性の高い再発防止策の策定と迅速な行動
(※2)
4. 迅速かつ的確な情報開示
<不祥事予防プリンシプル>
不祥事予防プリンシプルには、以下の6つの原則が要請されており、これら原則の相関関係を理解することが大切です。
- 実を伴った実態把握
- 使命感に裏付けられた職責の全う
- 双方向のコミュニケーション
- 不正の目の察知と機敏な対処
- グループ全体を貫く経営管理
- サプライチェーンを展望した責任感
原則4は、早期発見、迅速な対処、それに続く業務改善までの一連のサイクル定義を目指すものですが、そのための前提として、まずは原則1~3の各視点を踏まえた取り組みが重要となります。その上で、自社を取り巻く経営環境に応じて、国内外のグループ会社 (原則5対応)、仕入先・元請・下請・販売先等 (原則6対応) へ適用範囲を拡張することが求められています。