(2024/4/1 日経「人件費と設備投資増やす時」伊丹敬之 一橋大学名誉教授)

 

前回、イエスパー・コール氏の論考を紹介しました。主要なポイントは、「1995年~2022年の間に、日本企業は設備投資を10%、賃金を25%減少させた」というところです。

 

伊丹教授による著作「日本型コーポレートガバナンス」には以前目を通し、中核社員による従業員主権が、日本型コーポレートガバナンスの核となる概念であると提唱されていました。2000年代初期の論文なので、昨今の状況とはだいぶ変わっているなという印象を持ちました。

 

今回は、2000年代から、日本企業が政府はじめ外圧により急激に配当を増やしたこと、これにより、人件費・設備投資にお金が回らなくなったことを指摘し、このままでは日本企業は危ない、と警鐘を鳴らしています。

 

参考となる数字は、以下のようなものであり、ここ20年の日本企業のプラクティスの悪さを現しています。現在の業績は、成長投資を避け、人件費を削ってあげたものである、という現実に留意する必要があります。

 

  • 2002年 (設備投資 17.5兆円、配当 4.1兆円/ 配当人件費比率 6%)
  • 2022年 (設備投資 22兆円、配当 24.7兆円!! / 配当人件費率 47%)