(日経 2024/2/2 山本勲 慶応大学教授)

 

賃上げの持続性 「労働者の業務の高度化必須」として、AI導入で人はより高度な業務へ移行すべきこと、効率的に高い付加価値を生み出すタスクを労働者が多くこなすようになれば、生産性と賃金は高まる、と論じています。

 

いずれも言い古された周知の論であり、実務的には、高度化 (その前提としての学びなおし) や転職による成長産業への移行を唱えても実効性はありません。

 

小生が何度も主張しているように、日本企業の労務慣行が、ローテーションに基づくジェネラリスト育成となっており、専門家が育たない仕組みだからです。ジョブ型移行もグローバルな一部の先進企業に留まり、大半の企業は現状維持を選択するものと想定しています。企業にとって中核社員をローテーションによりDe-Skillすることは、自社内での囲い込み・同質化につながり、運営上都合がよいからです。

 

ところで、今回着目したのは上記論点ではなく、「業務の高度化」とは何か?ということです。定型業務から非定型業務への移行は分かるとしても、具体的な内容が今一つはっきりしませんでした。今回の論文で合点がいきましたので、引用しておきます。

 

「賃金の決定要因としてタスクの説明力は高く、特に企画・分析・調査・交渉などの抽象タスクが多くなると賃金が高くなる傾向があることが分かった。」