おばあちゃんは、なにを忘れたかったのか | 祖母、南タカ子<下杉正子

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思い出と、今と、これからと。


おばあちゃんは、毎日毎日ものすごいパワーで作品を作っていた。

子供の頃とても不思議に思っていた私は、その後自分も木彫りを始めたりコラージュを夢中でしていた。
集中は、おばあちゃんの方が凄かった。

時々座椅子で入れ歯をもろだしにしながら、15分くらい寝てすぐに起きてなにかを作っていた。

時々思う。
私がなにかをしたいときはなにかを忘れたいとき。
幼い頃の孤独をうめるためだったりもした。
仕事があると、心があんていする。

おばあちゃんの家もすこし複雑だったようだ。
おかあさんの2号さんもいらたらしい。
そういうことを、直接聞いたことがなく、ただただ私はおばあちゃんの助手だった。

うまくかけねぇ。

と、寝てしまう日もあった。

私が出かけてきて、あみぐるみのキッツキッツあみぐるみをおばあちゃんにわたすと、、、、

負けてらんねぇ!!

という根性を発揮しだして、まっちゃん!これと同じもの作れるから待ってて!!

燃えるおばあちゃん。

部屋に行くと、、、
夜なべした様子。

私の気配に気付き、あ!まっちゃん!できてるよ!!

と、満面の笑み!

私まで嬉しくなるほどの、ゆるゆるあみぐるみがいとおしくて、おばあちゃんにたのみこんでほしいよー!というとおばあちゃんは、ニッコリしながら、それを私にくれた。

作りたくない日もそれゃ、いまじゃアーティストだから、あるよね。
何かヒントみたいなものがあったり忘れたいとき作家は狂ったように作品をつくるのかもね。

当時は、知らなかった。
こんなアーティストがこんな近くにいたなんて!

歯が鋭く、ジッパーでできている。

たくさんのことがあるけれど、私もおばあちゃんみたいに負けない!