子どもの頃好きだった話のことを考えていたらグリムとアンデルセンのことを思い出しました。グリム童話(本当は民話)とアンデルセン童話は誰でも一度は読んだことがあるでしょう。もしくはちゃんと読んでなくても、お話はどこかで見聞きしたことがあるでしょう。「白雪姫」「赤ずきん」「ヘンゼルとグレーテル」「みにくいアヒルの子」「はだかの王様」「親指姫」などなど、知らない人はいないと思われます。
 グリム童話は民話なので、残酷でグロテスクな所もありますね。民話は昔の厳しい現実を反映しているので、往々にして残酷なものです。『本当は恐ろしいグリム童話』桐生操という本が出てたこともありますね。
 私は数あるグリム童話の中で「ぞっとすることを覚えようと旅に出た男の話」が好きで、子どもの頃何度か読みかえしていました。これは「ぞっとする」ということがどんなことかわからない出来の悪い息子が家を追い出され、首吊り台の下で夜明かししたり、魔物に呪われたお城で三日三晩寝ずの番をする話です。中でもお城で魔物と、九体の骸骨と二つの髑髏でボウリングをする場面がふるっています😄。男が三日三晩寝ずの番をしたおかげでお城の呪いは解け、男はお姫さまと結婚しました。夫婦仲は良かったのですが、男が相変わらず「ぞうっとしてみたいものだなあ」と言い続けているので、お妃はそれを聞くのがいやになり、腰元に入れ知恵されて、寝ている旦那に魚がうじゃうじゃいる小川の水を浴びせました。すると男は「ああ、ぞうっとする! ぞうっとする!」と叫び、生まれて初めてぞっとするということがわかったのでした😁。
 この話のどこがそんなに面白かったのかわからないのですが😄、子どもの頃の私のお気に入りでした。男は心霊的な恐怖感には不感症だったけれども、生理的な気持ち悪さは理解できたということですよね。男が鈍感力wで幸運を摑むところが好きだったのか、ホラー的な描写が面白かったのか、たぶん両方なんでしょう。

 アンデルセン童話には繊細なところがあり、「人魚姫」「マッチ売りの少女」「赤いくつ」などの悲しい話もあって、私はそこが好きでした。
 以前の記事にも書きましたが、“マッチ売り”には“売春”の暗示もあって、街角で凍えるしかない少女といえば、現代日本の神待ち少女の境遇とも被るところがありますねえ😰。
 “赤いくつ”は虚栄の象徴なんでしょうが、主人公のカーレンが脱げなくなった赤いくつを足ごと切り落として、後にそれが踊りながら通り過ぎるのを目撃するシーンが印象的だったな(けっこうホラーな内容ですよね😅)。私なんかは「赤い靴を履いて死ぬまで踊り続けてもいいんじゃない?」なんて思ってしまうんですが😁。一度赤いハイヒール(ピンヒールの)を履いてみたいと思いながら、なかなかいいのに出会わないんですよねえ。
 アンデルセンの有名な話は、子ども向けの媒体(絵本や童話やアニメなど)で繰り返し目にしてましたが、ある日家の中で、大人向けの小さな字で印刷された文庫本の「アンデルセン童話集」を見つけました。目次を見ると読んだことがない話があります。それが「旅の友だち」でした。これがとっても面白く(今読んでも面白く感じる)、これも何度か読み返していました。「なんでこんなに面白い話が子ども向けのアンデルセン童話集には入ってないんだろう?」と不思議でなりませんでした。
 ストーリーはというと、父を亡くして天涯孤独になったヨハネスという青年が旅の途中教会で、借金を踏み倒して死んだ男の死体を遺棄しようとしている男たちに有り金全部渡して、それを止めます。旅を続けていると、ある男に出会い道連れになります。その旅の友だちの助けでヨハネスは魔女の呪いをかけられたお姫さまと結婚し、お姫さまの呪いも解くことができました。めでたし、めでたしなんですが、その旅の友だちが、実はあの時の死体だったという結末なんですよね。このオチが子ども向けの本には収録できないネックなのかなあ?と思います。確かにちょっと不気味ですし、ネクロフィリア(屍体愛好症)的でもありますしね。
 今回岩波文庫版(「旅の道連れ」というタイトルになっていました)を読み返してみたら、教会の場面は死体遺棄をしようとしていたとはっきり書いてあるんですが、私が小学生の頃読んだ文庫本では「死体に悪さをしようとしていた」くらいにしか書いてなかったんです。なので「悪さって何?」と却って想像力を刺激されてしまい、死体損壊などの冒涜的な行為を思い浮かべていました。なのでますます子ども向けにはタブーですよね😅。
 でもこの話は描写が微細で絵画的なので、アニメや CG と組み合わせた実写にすると素敵だと思います(特にお姫さまが魔物の宮殿に行く場面)。
 こうして見ると、昔話やおとぎ話では旅に出た男は、最後はお姫さまと結婚することになってるんですね(逆玉😁?)。まあ確かに「あてのない旅に出た主人公は、最後は野垂れ死にしました」ではお話にはなりませんからねえ😅。

追記:私は「雪の女王」も好きでしたよ。囚われの男の子を女の子が奪還しに行くというのは、なかなかないストーリーに思えて。「アナ雪」に限らず、パスティーシュを製作したくなるストーリー骨格ですよね。年上のクールな美女に心奪われてしまった彼氏の気持ちを取り戻そうとする女の子の話とかw。ゲルダが途中迷い込むお婆さんの庭も印象的だったな。ともあれゲルダちゃんは熱血少女ですよね😄。

追記2:子どもの頃家にあった文庫本の『アンデルセン童話集』はたぶん文系の長兄が買ったものだと思うのですが、長兄は「エンドウ豆の上に寝たお姫様」が好きで、よくふざけて「エンドウ豆の上に寝たお姫様のように繊細な私なのに」などと言っていました😁。兄嫁によると、小さい息子が置き忘れた三角形の積み木の上に敷かれた布団の上でグーグー寝てたことがあるそうですww。しかも尖ったところが上向き😄😁。