つい最近までは、
どこに行くときも、
私がドライバーで、
妻は助手席に陣取っていました。
それは、
お付合い開始直後から、
そうだったし、
まぁ私等の世代の人は、
誘うのも、
声をかけるのも、
男の礼儀と言われていたし、
お店の伝票、
会計事務処理も男の仕事だと思っていたし、
当然、
送迎だって男の大事な務めだと信じて、
ずーとやって来ました。
そして今、
青春を過ごした昭和が、
老眼と認知症予備軍の進行によって、
これまで信仰していたことも、
これまで実践していたことも、
いろんなことが
ぼやけて曖昧になって、
価値が代わってまいりました。
平成生まれの家の子は、
数年前に家を離れ、
昭和一桁生まれの両親は、
数か月前に旅立ち、
妻と私だけだと、
お互いの容姿に、
戸惑いながらも、
あまり細かいところは
触れず、障らず
現実を遠目に見て、
過ごしています。
ただ、
ハッキリしていることは、
私の老いが先行しているので、
これからは、
何処へ向かうにしても、
妻が前を見て、
ハンドルを握り、
私は助手席で、よそ見をしながら
静かに付いていこうと思っています。