最期のお見送りがありました。
70代女性 口腔内の腫瘍がありました。
娘さんやお孫さんに見守られながら
旅立ちました。
山本さん、エンゼルよろしく！
（エンゼルケアと言って、
身体に繋がっていた酸素や点滴、
尿の管など全て外し、身体を綺麗に清拭し
浴衣に着替え、足袋をはかせ メイクを施す全般のケアのこと）
師長にそう言われて部屋に入って
手を合わせる。
長い闘病生活のなかで
疲れた顔になっていたり
血の気がひいて白くなる事は通常のことだけど
あまりに 真っ白で
口腔内から 最後まで出血があったため
唇も 血液で固まってしまっていた。
あまりに 口唇色の悪い 風貌の
Yさんを見て
これでは 見送る家族があまりに 辛い。
まず 処置の前にワセリンをたっぷり唇に 塗り
柔らかくしておいた
1番に顔を拭いた。
それから全身を綺麗にし
着替えをした。
真っ白なお顔に
ファンデーションを塗ることもあるが
今回は
ファンデーションを塗ると逆に
浮いてしまい 不自然さが際立ちそうだったので
ほっぺに
ほんのり 薄いピンクのチークを
施した。
だれか他のナースが
持ってきて寄付してくれていたのか？
私がいつもメイクするときに
使う時と、同じような
太めの チーク用のハケが道具の中にあったので
くるくるっと ブレンドして、
とっても自然で血色のいい
お顔になった。
先ほどのワセリンも
全身を綺麗にしている間に
少しふやけて
ある程度の 唇とその周囲に付着していた
血液もとれた。
終わって
師長が部屋に入ってきて
いやー、めちゃ可愛くなったやん。
いい感じにメイク出来たね。
と 小さな声で 褒めてくれた。
私も 我ながら 良い感じにメイク出来たと
思った。
お肌はキメが細かくて色白な方だったので
あえてファンデーションは塗らずで
正解だった。
程よく 明るさがでて
スヤスヤと眠っているように。
少しでも美しい状態で
送りたい。
家族とのお別れの時間も
綺麗な顔をみて話しかけたいものだと
思うのです。
お疲れ様でした。
安らかに。
それにしても
わたしさ、自分のメイクが
上手になったのと 同じように
エンゼルメイクも上手になったなぁと
心の中で勝手に実感したのだった。
ありがとうございました
山本理恵 りえざる
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