NHKのBSでやっていた番組でのサンデル先生の東日本大震災に対する基調講演は面白かったですね

かつてポルトガルの大地震が起こったとき、それはちょうど啓蒙思想の発芽の時期だったこともあり、ヨーロッパの価値観が大きく変わったことがあったそうです。
被害の大きさなどが直接価値観の転換につながるわけではなくて、時代的なタイミングが合致したということです。
今はネットワークによるグローバリゼーションの真っ只中ということで新しい価値観が生まれる可能性があるということでした。
これだけの傷を負ったわけですから、このことが社会に新しい価値観をもたらして調和が生まれるのなら本当に素晴らしいことだと思います。
しかし、その中でYouTubeで津波の映像を見て、遠く離れた外国の方がリアリティのある問題として受け止めることが出来るかという話になりましたが、僕は甚だ懐疑的になってしまいます

いわゆる地球市民という発送だと思います。
僕たちは身体のサイズも限定的であり、それぞれの生活圏も限られています。
フェイスブックで離れたところに恋人や友人が出来たとしても、どこでもドアがあるわけではないのです。
被災された方々への共感はある程度はイマジネーションで補うことが出来ると思いますが、僕たちは傷を負ってみないと本当の痛みは分からないと思います。
節電のために電車が走ってないとか、食べ物が手に入らないとか、テレビが地震関連の番組しかやってないなど、生活の上での不便さを実感出来たから、僕にとっては対岸の火事には思えませんでした。
しかし、震災直後であっても、関西より西方面の方とでは温度差があったのを思い出します。
そのとき南米を旅行中だった両親とでさえ、震災の捉え方が違っていたこともありました。
政治の世界でも、ネットワークによる革命が可能になっていますが、地政学的な距離の問題を考えることなしには政治を行うことは出来ません。
まさに原発のロケーション自体が都心にエネルギーを送るには近くて、放射能汚染があったときはとりあえずは回避できるという理由で、茨城や福島が選ばれているのは間違いないところです。
それでもこの未曽有の悲劇の中で、本当に感情を内包した哲学こそが求められているというサンデル先生の考えは理想的ではありますが、やっぱり素晴らしいと思います
