「恋人とはなんですか?大切な人のことですか?」
長い髪の女は問い掛けた。
「一緒に居たい人のことじゃないかしら」
向かい合うように座っている髪の短い女が応える。
「愛していなくても、一緒に居たければ恋人にしてしまうの?」
「私は一緒にいて楽しければ、それでいいわ」
「私は大好きな人、愛している人と一緒にいたい。そういう人との関係に恋人という名前をつけたい」
長髪の女は言う
短髪の女は微笑む
「大好きじゃなくても、愛していなくても、人間は嘘がつけるのよ」
「貴女は今、愛している人と一緒にいないのね?」
短髪の女は答えない。
短髪の女は応えない。
「虚しくはないの?相手に失礼だとは思わないの?」
「…それでも彼のことは嫌いじゃないの、大切だとは思うし愛しいとも思うのよ」
まるで言い訳のように短髪の女が声を出す。
「愛しいと思っても愛してはいないんでしょう?」
「それでも私は、私は」
顔はお世辞にも格好いいとは言い難いし
大人なのにどこか子供っぽい彼に
別れの言葉を言おうとは思わないの
それは、私が弱虫で嫌われたくないからかもしれないけど
私は言おうとは思わないの。
短髪の女はそう言った。
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堂々巡り。