長編小説「2011年3月11日東京電力福島第一原発大事故。地球環境人類の近未来は危ない!ぞ。超やばい!ぞ。地球温暖化は更に進み、異常気象は頻発化常態化し、自然災害はパワーアップし、世界人口は100億人を突破する。世界的な水と穀物不足。国際的な利害対立!国連は機能せず。生存競争の激化と経済的格差。アルマゲドン核の冬。希望の星は黒ゴジラ恐竜皇帝ティラミスか?それとも、手遅れか?」
2011年3月16日 夜
千葉県南端の東京湾と太平洋を臨む町、館山市内にて。
語り手のこけるさんは、中年男で学習塾のプロ講師のメイさんから、例のマクドナルド店内にて、「放射能」について説明を受けている。テーブルの上には、大学受験化学参考書が、開かれている。その両ページは、元素の周期表である。
長編小説A19前回の続き
「地球上には、100余りの元素が、あります。太陽や宇宙を作る元素の98%は、1番軽い水素Hと2番目に軽いヘリウムHeです。
地球の地殻を作る元素の98%は、酸素Oとケイ素SiとアルミニウムAIと鉄FeとカルシウムCaとナトリウムNaとカリウムKとマグネシウムMgです。
人体のほぼ98%を作っている元素は、酸素Oと炭素Cと水素Hと窒素NとカルシウムCaとリンPです。
さて、こけるさんに質問です。
(放射性元素は、この周期表のどこにあるのでしょうか?ただし、その範囲は、原子番号1の水素Hから原子番号56のBaバリウムまでとします。さて、こけるさん、どの元素が、放射性元素でしょうか?」
わしは、意表を突かれたのお。
元素と放射性元素とは、一体、何が、何処が、違うのか?
そもそも、放射能って、何なのか?
それは、透明で、無表情で、恐るべき殺人光線であるらしい。わしは、曖昧にしたまま、文学的に、わかったつもりになっておったのか。
「こけるさん、ここにある、56個の全ての元素は、安定していますから、放射性元素ではありません。
ところが、放射性元素は、とても不安定なのです。
それらは、自然界にも存在しますが、原子炉圧力容器内でも、人工的に大量に作られます。人間は、電気と言うエネルギーを、多量に効率よく得るために、放射性元素と言う猛毒物質をも多量に作り出しているのです。人間は、自分たちをホモサピエンス、知恵ある者と称していますが、人間は、本当に、そうなのでしょうか?
人の5感は、放射性元素の存在を感知できません。だから、それらは、人体の中へ平然と入って来るのです。そうして、痛みも、なかった。血も、流れなかった。なのに、やがて、下痢し、下血し、嘔吐し、皮膚が、ただれる。いつの間にか、人体が、壊れるのです。恐ろしい!」
わしは、アップルパイを食べるのを忘れて、メイ先生に質問したのじゃ。
「やっぱり、原子爆弾と原子力発電所とは、兄弟であったのだなあ。兄の原子爆弾は、大量殺人兵器で、弟の原子力発電所は、有益な電気を作り出すが、ところが、どっこい、原発は、ジキルとハイド、二重人格者ですな。兄と弟も、爆発すれば、放射性物質を大量にまき散らす。
メイ先生、わしの考えは、どうじゃな」
「こけるさん、先生だけは、止めてください。メイさんで、一貫してください。
こけるさんのお考えは、比喩的ですが、本質を突いていますね。その着眼点は、素晴らしいです。
原子爆弾は、一瞬にして、核分裂連鎖反応を発生させるため、爆発時の爆風と熱線が、超すさまじいのですが、その時に生成される放射性元素は、原発事故で放出されるのと比べると、質(たち)が、いいのです。
危険な放射性元素が、余分なエネルギーを放出して安定的な安全な元素になる。その期間が、原子爆弾の場合、比較的短いのです。
原子の真ん中にある原子核を壊せば、莫大なエネルギーが、放出される。人類は、1938年頃に、その物理的事実を発見したのです。更に、人類は、アメリカの軍部は、1945年7月過ぎに、ウラン235原子核とプルトニウム239原子核を分裂させる技術を獲得したのです。
人類は、先ず、その莫大な熱光エネルギーを、瞬間的爆発的に解放させました。
それが、原子爆弾だったのです。
戦後、その莫大なエネルギーを時間をかけて、ゆっくり解放させました。
それが、原子力発電所だったのです。
こけるさんのおっしゃる通り、兄は、大量殺人兵器となり、弟は、平和の顔を見せながら、人類の最先端の科学技術レベルでも、手に負えぬ猛毒物質を今も、作り出し続けています」
終わり
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