初めての撮影で緊張して、カメラ向けられたら泣いちゃって。

宮澤さんや陽菜ちゃんが可愛いよ大丈夫って慰めてくれて。

なんとか撮影を終わることができた。

今日はお試しだったから、正式にやるかの判断を決めてって言われたけど、緊張したけど楽しかったからみんな引き受ける返事をした。


授業も出なきゃいけないから、撮影は交代制にして来週は私と宮澤さん。

再来週陽菜ちゃんと優子さんって感じで交代にすることに。

着替えてバスに乗り込む。

隣に座ってきた宮澤さんが、

「緊張したね」って言われて

「はい」って返す。

「由紀ちゃん可愛かったよ。」

「ありがとうございます」


正式にグラビアをやるにあたり、色々な承諾書が実家にも送られていてまあ未成年だから。

お母さんのほうには細かく説明された配布物がたくさん送られていた。


「まあ何事も経験だし、頑張ってみなさい」

ってお母さんは頑張ってってすぐにサインしてくれた。


グラビアをやる上での注意事項

人に見られる意識を持つこと

水着は商品のため、必ず1度裸になり体を綺麗に拭いてから身につけること

身だしなみ類は前日迄におこなうこと


などいろんなことが書かれていた。

撮影って大変なんだなってわかるよね。


とりあえず出れてない授業のノートをはーちゃんに借りて、お勉強して

3日後、宮澤さんと撮影だから今から緊張していた。



そして、契約してから初めての撮影。

早い時間にまた車に乗り込みスタジオにいき、メイクを先に済ませて、更衣室に行く。

先に1度すべての服を脱ぐ。

隣で宮澤さんも裸で恥ずかしい。

「タオルで拭きますね」

スタイリストさんが拭いてくれるんだけど、めっちゃ恥ずかしくて。

「ふいたのでつけます」

アンダーショーツを身につけ、水着をつけてもらう。

「谷間を見せるために少し胸を触りますね」

軽く手が胸に入ってきた。


私はピンクの水着、宮澤さんは水色の水着を着た。

「由紀ちゃん可愛い」

「宮澤さんも素敵です」


2人で撮影をスタートさせる。

カメラマンやスタッフさんたちもみんな女性。

気を遣って女性にしてくれたのだろう。

話しかけて、私たちが緊張しないように工夫をしてくれた。


「由紀ちゃんこっちね」

「佐江ちゃんも目こっちだよ」


優しいカメラマンさんのおかげで撮影は無事に終わり。

「ありがとうございました。またお願いします」


「佐江ちゃん、由紀ちゃんすごく良かったよ。」

「ありがとうございます。」


撮影がすごくたのしかった。

着替えてるときもたのしかったねって話をしてたくらい。


みんなに土産話が楽しみだな。

車の中で私は緊張していたから爆睡していたみたい。

宮澤さんの肩に頭を乗せていたようで寝顔を取られていた。

「由紀ちゃん可愛いな」ふと言ってしまう。



お風呂上がり、1人で共有スペースで座っていた。

ふと由紀ちゃんの裸も見てからずっとドキドキしている自分がいる。

「やっぱ佐江おかしいのかな」

頭を抱えて悩んでいた。


たまたま通りかかる小嶋さん。

「あれ?佐江ちゃんどうした?具合悪い」

「いや、ちょっと」

「何?泣いてるの?部屋に来なよ」


ちょうど1年生がお風呂時間なので、はーちゃんもいない。

「どうした?」

「いや、今日グラビアやって、由紀ちゃんと撮影して楽しくて。

でも、違う感情も感じて。」


「?」

「撮影前脱がなきゃいけないから、一緒に裸になって、それから佐江、めっちゃドキドキしていて。帰りの車も由紀ちゃんが頭を佐江の肩に乗せていて思わずキスしそうになったというか。」


「なるほどね。佐江ちゃん、ゆきりんのこと好きなんだね。嬉しいよ」

「好き?」


「可愛い以上の感情をもってるんでしょ?それは好きだよ。泣くくらいだもん。

まあ、いとことしてゆきりんの気持ちをちゃんと理解はしてほしいから、あんまり言えないけど、1つだけありがとうって言いたい」


「えっ?」

「妹のような存在のゆきりんを好きって言ってもらえるのは嬉しいよ。」


「佐江どうしたらいいですかね?」

「いつも通りに接して、今まで以上に話しかけてみてもいいんじゃない?ゆきりん、佐江ちゃんに優しくしてもらえて嬉しがってた。

先輩と話すの緊張するけど、佐江ちゃんは少しだけ話しやすいって」


「良かった。」

「まずはゆきりんの心を向けること。もっと仲良くなればさ、何か動くかもよ。少しは協力するから頑張って」

「ありがとうございます」


佐江は部屋に戻る。

「おかえり」っていつもの調子で、佐江は由紀ちゃんにギューってする。

「宮澤さん?」

「あっ、ごめん」

「なんか泣いてました?」

「ううん、大丈夫。」


夜、宮澤さんが一緒に寝てもいい?って聞かれた。

はいって言って、宮澤さんが私のベッドに潜り込む。


少しして寝ようとしたとき、宮澤さんの鼻をすする声がして、泣いてる?って気付いた。

「宮澤さん?」

心配になり、電気をつけた。

「ごめん、起こした?大丈夫。鼻がつまっただけ。」

「目真っ赤ですよ?大丈夫ですか?」

「ほんとに大丈夫。ごめんね」


暫く宮澤さんのすする音が聞こえて心配になって、翌日、陽菜ちゃんに相談した。

「そんなことがあったんだ。佐江ちゃんに後で聞いてみるね」って。


佐江ちゃん、結構深く悩んじゃってるみたいだなあ。助けてあげないとどんどん悩んじゃうかも。


学校前佐江ちゃんと廊下で話した。

「ゆきりん、心配するから気持ちはわかったけどできるだけ普通にしてあげて。大丈夫かな?って私のとこに助けを求めてる。

佐江ちゃんも気持ちの整理ができてないかもだけど。」


「佐江、どうしたらいいかわかりません」

「難しいよね。けど、ゆきりんは仮に告白されても嬉しいと思うよ。

佐江ちゃんのことをいつめた優しい先輩って言っているから。」


「先輩としては見てくれてるからそれ以上にもならないですよ」

また落ち込んじゃった。


「大丈夫だから、とりあえず授業出て」

「はい。」

お昼の時間も佐江ちゃん頑張ってゆきりんと話していたけど、授業午後は出ずに保健室にいたらしい。


ゆきりんは仮に言われても、嬉しいとは思うよ。佐江ちゃんは部屋に帰ったらしいけど、全然元気がなかったみたいで。


「宮澤さん、体調悪いですか?」

「ううん、元気だよ」

朝から私の目を見て話してくれない。

なんで?って私は思っていた。


私は気になり、宮澤さんの手を握った。

「今日、宮澤さん全然私の目を見てくれてないです。私、迷惑かけたことしました?」

「ううん、なんもされてないよ。」

「じゃあ、なんで。なんか様子がおかしくて」



宮澤さんは泣き出してしまった。

「佐江、由紀ちゃんのこと好きになった」


そういって、部屋から出ていった。

宮澤さん、今好きって言った?え?


大粒の涙を流しながら宮澤さんは走っていった。