高1の夏、不登校になった。


見かねた母親にここなら通えるよって

言われて2学期の途中に転校した。

私の名前は柏木由紀 17歳。

受験に失敗し、入った高校でいじめにあった。


お母さんが「違う学校に行こうよ」

って言われて渋々転校し、学校に通うことに。


「柏木由紀です。よろしくお願いします。」

女子高で不安を抱えながら言われた席につく。

「宮澤佐江です。よろしくね。」

「お願いします。」


隣の席には、髪がめっちゃ短くて、笑顔がすてきで制服の着こなしが男の子みたいな風のボーイッシュなコ。

私が緊張して静かにしていたら、

「由紀ちゃん、家どこに住んでるの?」てか、前はどこの高校だったの?とか色々話しかけられる。


「宮澤さん聞いてる?」

「なんか言ってました?」

「聞いててよ」

「はーい」


HRが終わり、佐江ちゃんの周りには友達がいっぱい集まる。

「佐江、夜カラオケね」

「いいよ」


私は、人が怖かったから静かに席を立ちベランダに1人行く。

すると、佐江ちゃんがやってきて

「おいでよ」って声をかけてくれる。

「由紀ちゃん、どこから転校してきたの?」

佐江ちゃんの友達たちが一気に輪に入れてくれる。


「秋葉高校かー。進学校からよくこの学校来たね。」

「いじめられて、つい最近まで不登校になってて。」

「由紀ちゃん可愛いもんね」

背の小さい高橋みなみ。

「たかみなってそういう目で見るよね」

「別に恋愛感情じゃなく可愛いくらいは思うでしょ?」

「可愛いけどさ」


「由紀ちゃん、名前紹介するね。」って

佐江ちゃんの友達の名前をみんなしてくれて。

「今日から由紀ちゃんも仲間に入れていいよね」

「もちろん。由紀ちゃん放課後カラオケ行くけど来る?」

「今日はやめときます」

「次いこうね」


1日が終わり、みんな優しくて少しは安心した。

けど、またいじめられたらどうしようって気持ちもあった。

お母さんが、「普通に大人しくしていたら友達はちゃんとできるから、頑張って」って。


翌日、朝電車に乗ろうと待っていたら

「由紀ちゃん」って佐江ちゃんがやってきた。

「おはよ」

「おはよう」

「昨日場所聞いときもしかしたら家から近いのかもって思っていて、やっぱり最寄り駅一緒で嬉しい。一緒に行こうよ」

「うん。けど、佐江ちゃん誰か友達と行かないの?」


「ここから乗る子はいないから。」

「そうなんだ」

満員電車で、揺れてぶつかった。

私より少し背が高い佐江ちゃんが

「捕まらないと危ないよ」って。

さりげなくエスコートする感じがイケメンでかっこよかった。


3駅くらいで降りるけど、かなりいっぱい人がいて佐江ちゃん抱きしめられてる状態に。

「危ないから佐江につかまってて」

「うん。」


優しさとかっこよさに女のコなのにドキドキした。

駅につき、改札を出たところで大島優子ちゃん、小嶋陽菜ちゃん、前田敦子ちゃんに会う。

たかみなちゃんはバス通学のため、一緒にはならない。


「佐江と由紀ちゃん一緒にきたの?」

「最寄り駅一緒だから一緒に来たんだよね?」

「うん」


気づいたら佐江ちゃんが由紀ちゃんこっちって手を引き、佐江ちゃんが車道側に立つ。

「佐江って由紀ちゃんに優しいよね」

「いつもみんなに優しいじゃん」

「私らにそんなことしないじゃん」


「別に佐江優しいよ」

顔が真っ赤になる佐江ちゃん。

佐江の中で由紀ちゃんみたいな女のコが好きなのかもしれない。

めっちゃ可愛いなって思った。


ちなみに、優子ちゃんは陽菜ちゃんが好きでしょっちゅうちょっかい出していて、わかりやすい。

あっちゃんとたかみなちゃんもお互い好きなんだろうなって見てればわかるみたいな。


教室に入り、佐江ちゃんはみんなから声をかけられていた。

「おはよー」

人気者の佐江ちゃんはみんなと楽しく話をする。

私はみんなの様子を見ていた。

「由紀ちゃん、帰りにスタバいかない?みんな来るんだけど」

「行きます」

「良かった。歓迎会したいからさ」

優子ちゃんと、たかみなちゃんが誘ってくれて嬉しかった。


「佐江、由紀ちゃん来れるって」

「良かった。」


佐江ちゃんを中心に私が1人でいると、自然とみんなが声をかけてくれるようになった。


「佐江、由紀ちゃんのこと見すぎ。佐江のタイプなんでしょ?」

「ち、違うよ。可愛いなって思っただけ」

「好きだなって思うんでしょ?

車道歩かせないようにするってもう男だよね」


「由紀ちゃんにはバレないようにしなよ?びっくりされるから」

「うん。」

2限が体育で、体操着がまた届いてない由紀ちゃんは見学に。

1人で木の下にいたら、陽菜ちゃんがやってきた。

「体操着忘れてきたから見学する。由紀ちゃん一緒にしよう」

「うん。」

「由紀ちゃん、今彼氏はいる?」

「いないよ」

「付きあったことは?」

「1回だけ」

「そうなんだ。」


「今は好きな人いる?」

「いないよ。陽菜ちゃんは?」

「好きになりそうなのかわからないんだよね。すごいアピールしてくる人いて、振り回されてるみたいな。」

「陽菜ちゃん可愛いから、モテそう。」

「そんなことはないよ。」


「あっ、佐江ちゃんコケた。大丈夫かな。

佐江ちゃん足はやいなあ」

独り言で言っていたつもりが、陽菜ちゃんに聞かれている。

「由紀ちゃん、佐江ちゃん目で追ってるんだね」

「そんなことないよ。ただなんでも出来ちゃうんだなあって」

「たしかに佐江ちゃんは運動神経いいからね」

「たかみな見てみ?めっちゃ遅い笑」

「私が走っても同じくらいかも」


陽菜ちゃんとゆっくりお話ができた。

教室に戻る。

「佐江ちゃん足速いね」

「足は割と速い方かな。見ててくれたんだ。嬉しい」

「由紀ちゃん、ずっと佐江ちゃん目で追ってた。足速い。すごいって」

佐江ちゃんが女のコだってわかってるんだけど、なんかかっこよくてキュンとしていた。