子供の頃から体が弱く入退院を繰り返ししてきた。

親が仕事でそんなには来れなくて。

でも、看護師さんたちは優しくて。

淋しくて泣いたことあったけど気づいてそばにいてくれた。


小学生でなんとか少しは学校行けてたんだけど、走りまわったりする体力がなくて。倒れたりして。

中2の夏、体力なさすぎて歩けなくなった。

そして入院することに。

ずっと小児科で一人ひとり担当患者が看護師の中でもいるらしく、私の身の回りのお世話は看護師の小嶋さんがやってくれていた。

入って2年目くらいの若い看護師さん。


トイレ、お風呂身の回りの世話をほとんど助けてもらっていた。

別にリハビリして、訓練すれば歩けないわけではない。体力がもともとないのに歩けないだけで。


ナースコール押せばだいたいは陽菜ちゃんが来てくれた。

「由紀、おしっこする?」


だいたい何時間あけてってメモがあるから、1日3回くらいナースコールを押すと陽菜ちゃんが来てくれた。


「うん。」

すぐに来れなくて我慢できなかった用に常にオムツもしている。

ベットから1人で降りるのも今は一苦労。


「あっ、まだ出てないね。していいよ」

終わると、拭いてくれる。


「由紀、今日大は出てなかったよね?今日出ないなら明日は浣腸するよ」

「いや」

「嫌なのは知ってるけど、またお腹痛くなるから明日は浣腸ね」


トイレとお風呂の世話。

由紀はいい子だし、中学生にしてはしっかりしてます。けど、夜になると淋しくて泣いちゃうことがチラホラ。


私も担当看護が増えてきて、由紀を優先的に手伝うことが難しくなってきていて。

師長に相談した。

「小嶋さん、忙しくなってきたもんね。入ったばかりの宮澤さんをつけて、しばらく慣れさせてから、小嶋さんは交代の方がいいかな」


1年由紀のお世話をしてきたから、ちょっとさみしいけどね。


翌日、新人の宮澤さんを連れて由紀の病室へ。

「由紀、おはよ」

「おはよう、陽菜ちゃん」

「私ね、近々由紀の担当にならなくなると思う。だから、隣の宮澤さんに引き継いで由紀のお世話できるようになったら、抜けることになったの。」


「えっ?陽菜ちゃん来ないの?」

「ごめんね。でもまだしばらくは来るから。宮澤さんに慣れるまでは教えなきゃいけないし。」


「わかった」

「宮澤です。お願いします」

「由紀の方が病院のことは詳しいから優しくしてあげてね」

「はーい」


ショートでボーイッシュででも笑顔が素敵な人。

とりあえず聴診と血圧だけ測る。

「由紀、胸の音聞くね」

「宮澤さん、パジャマのボタン、2つあけて」

「ごめんなさい、失礼します。」


「こうやって異常がないか音を聞いて問題があれば先生に話してね」

次は血圧。

血圧測ったら朝ごはんの時間。


「名前が書いてあるからそれを由紀のところに渡してあげてね」

「いっぱい食べてね」

そう言って宮澤さんが置いてくれた。


少しして、「由紀完食したじゃん。偉いじゃん」

って陽菜が。

「うん、今日は食べれたよ。美味しかった。」


ご飯も味噌汁も卵焼きも全て完食。好き嫌いもあるから、食べないときは食べなくて。

体重が減ってくるときもある。


ご飯中にお水をいっぱい飲むからって

陽菜ちゃんが「そろそろおしっこする?」

って。


来てすぐに宮澤さんに見られるのは恥ずかしくな。

下にシートを引き、パジャマを脱がしておむつも取る。

「宮澤さん、なるだけ恥ずかしさを隠すために準備するまではタオルかけてあげてね。」

「はい。」


「由紀がしたいタイミングきたら教えてね」

「宮澤さん、漏れないようにしっかりとってあげてね。」


「出るかも」

シャー。

いっぱい出た。


「でたから拭いてあげてね」

「ごめんなさい、失礼します。」


そのあとは、浣腸の時間。

おむつをして戻す。

「由紀、浣腸するからね」

「むー」

「お腹張ってるからもうだめだよ。おしりをだして薬をいれたからね。」


しばらくして、「由紀出そう?」

お尻の下にでかい袋をおく。

浣腸したときは、由紀いつも泣いちゃうんだよね。


出たからしっかりとおしりを拭く。

「頑張ったね。偉かったよ」

頭を撫でる。


あとは、お昼まで陽菜ちゃんたちが来ることはない。


その間だに歩くリハビリの時間が。

「歩行器を使って歩いてみよう」

リハビリの先生が優しくアシスタントしてくれる。


今日は体調が良いのか割と疲れずに歩けた。

「由紀ちゃん、今日は割と歩けてるね」  


リハビリして、疲れて少し眠った。

少しして、陽菜ちゃんに呼ばれて。


「由紀、お昼ご飯食べようか」

「うん。」

 

お昼ご飯も完食。

「由紀、今日すごいじゃん」

「さっき、リハビリしたの。お腹すいちゃった。」

「偉いね」


夕方、2日ぶりのお風呂。

「由紀、お風呂入ろうか」

「うん。」

「宮澤さんも一緒だけどよろしくね」

「うん。」


更衣室でパジャマを脱がされる。

恥ずかしいから、タオルをかけてもらう。

「とりあえず、宮澤さんに洗ってもらって、私は指導に入るね。気持ち悪かったり、痒いなとかあったらすぐ言ってね。」

「うん。」


専用の椅子に座らせる。

「柏木さん、お湯加減大丈夫?熱い?」

「大丈夫です。」

「宮澤さん、由紀ちゃんで大丈夫だよ。」

「あっ、はい。」

「熱かったら言ってください」 

割とぬるめで冷たくも熱くもない。

「痒いとこあったら教えてね」


タオルで洗ってくれる。

腕、脇の下と洗ってくれて胸に行く。

中学生だから、まだ発育段階であんま触ると痛いみたいで、

「由紀ちょっと痛い?」

「うーん。」

軽く円を書くようにして洗ってあげる。

「宮澤さん?」

「はい。」

「胸の下が痒いです」

「今洗うね」


「宮澤さん、ここは汗たまりやすくて痒くなるから忘れずに洗ってあげてね」

「はい。」


「由紀ちゃん、大丈夫かな?」

「はい、ありがとうございます」


お腹周りを洗ってくれて、足を洗ってからおしりに。

片足をあげて、おしりを洗っていく。

「宮澤さん、このときも足をあげたら恥ずかしいから、タオルで隠してあげてね。」

「由紀ちゃんごめんね」

「大丈夫です。」


最後に陰部洗浄をする。

極力時間は短めにテキパキしてあげないと、患者側は恥ずかしいからね。


ボトルでお湯をかけてから、専用タオルで洗っていく。

「染みちゃうからソープをあんまり当てちゃだめだよ。」

「はい。」

「由紀ちゃん、かゆいところはありますか?」

「大丈夫です。」

恥ずかしくて泣きそうな由紀。

「ごめんね、由紀もうちょい頑張ってね。」


初対面で裸を見られるってめっちゃ恥ずかしいからね。

流してもらって、すこしだけ湯船に入れてもらった。

温かくて気持ちいい。

「由紀、気持ちいい?」

「うん。温かい。」


機械で上下上げてくれるから、助かる。

「風邪引いちゃうからここで体を拭くね」

「はい。」


「由紀ちゃん気持ちよかったって顔してるね」

「毎日は入れないから、嬉しくて」

「そうだよね。自分で入れたら楽だもんね」


拭いてパジャマに着替えさせて部屋に戻す。

「ありがとうございました。」

「こちらこそ、色々至らなくてごめんなさい。」

「気持ちよかったです。」

「良かった。ゆっくり休んでね」

「はい」


夕飯まで時間があったから、勉強の時間。

目標は高校生になること。中学の勉強も全然できてない状況で受験なんてって感じだけど。


宮澤さんが夜ご飯を持ってきてくれた。

「勉強してたの?偉いね。ご飯の時間だよ」

「ありがとうございます。」


小嶋さんは日勤だから、帰る時間。

「また明日来るから、宮澤さんが今日は見てくれるから何かあったら呼んでね」

「わかった。」


小嶋さんから教えてもらったことに、寝る前に必ずおしっこの確認してあげてね。夜が行きたくて不快な気持ちにさせちゃうからって。


18時になってもナースコールが鳴らなかったから、部屋を覗く。

「由紀ちゃん、勉強してたの?」

「はい。」

「偉いね。」

「高校生になりたいんです。だから、勉強しないと。」

「すごく偉い。由紀ちゃん、お昼以降おしっこしてないんだけど大丈夫?」

「あっ、したい」


「ちょっと待ってね」

用意をしてくる。

「夜中にオムツで嫌だよね。」

「はい」


準備をして、漏れないようにあてる。

「由紀ちゃんのタイミングでしていいよ。」

「もう大丈夫です。」

「結構出たから我慢してたでしょ?今日、私が来ていきなり裸にされて緊張したよね?ごめんね。」

「めっちゃ緊張しました。恥ずかしかったです。」

「ほんとにごめんね。」

「宮澤さん、お仕事なんだし私の世話してもらってありがとうございます。」

なんていい子な中学生。


「拭くね」

綺麗にして、オムツを戻して寝かせる。


「宮澤さん、聞いてもいいですか?」

「いいよ」

「何歳ですか?」

「21です。」

「思っていた以上に宮澤さん若かった。」

「えっ?何歳に見えたの?」

「陽菜ちゃんと同じくらいかなって」

「そっか。」


「私からも聞いていい?少し慣れたら私がお世話しにくることになるけど、嫌じゃないかなって思って。」

「嫌じゃないですよ。お世話全部してもらってて、申し訳ないです。」

「由紀ちゃん、偉いね。まだ中学生なのに。」


「いえ。」

「とりあえず、今日は疲れただろうしゆっくり休んでね。また、明日来ます。」

「今日はありがとうございました。」

「えっ?」

「私のなれない世話に宮澤さんも疲れたと思うから休んでください。」

「なんて素晴らしい中学生なんだ」


思わず佐江の中でドキってした。


朝、7時。

陽菜ちゃんと宮澤さんに起こされた。

「由紀、おはよう。」

「おはようございます」


今日からは極力宮澤さんにやってもらうから、由紀もよろしくね。

「はーい。」

「いいお返事だ。」


「由紀ちゃん、胸の音聞くね」

「はい。」

血圧も測り、「宮澤さん、おしっこしたいです」

「わかった。すぐに準備します。」

「由紀、夜結構我慢してたんじゃない?結構出たね」

「うん。ちょっと我慢した。宮澤さん初日だし、呼ぶの悪いから」

「そのうち、私もあんまり来なくなるし我慢しないでちゃんと呼んでね」

「うん」


シートを引いて、準備をしてからオムツを脱がす。

「すぐ出そう」

「いっぱい出てるね」

拭いてくれて、オムツを履かせてくれてそのあと朝ごはん。


看護記録にどれくらい食べたか?尿量の記録をしておかなければならない。


お風呂は2日に1回しか入れないから、今日はタオルで拭く程度。

「由紀ちゃんが自分で拭くって言うなら濡れタオル持っていくけど自分でやる?」

「背中とか届かないし、できたら拭いてほしいです。」

「わかった。夕方でも大丈夫かな?」

「はい。」


夕飯に鳴る前に宮澤さんがタオルを持ってきてくれた。

「小嶋さん、今手が離せないから来られないけどごめんね。」

「大丈夫です。」

「拭いて大丈夫かな?」

「はい。」

温かいタオルで拭いてくれるから入れなくてもなんか気持ちいい。

「由紀ちゃん、キャミをまくるね」

「はい。」 

拭いたあとはすぐに戻してくれる。


シーンとしてるの緊張するから、宮澤さんに話しかけた。

「宮澤さん、聞いてもいいですか?」

「うん、いいよ」

「どんな中学生でしたか?」

「あっ、佐江?」

「はい。」


「おてんばだったなあ。男の子とも仲良かったし、普通に遊んでたんだよね」

「彼氏は?」

「できないよ。友達としてしか思われないからね」

「どんな中学生だったのか気になって」

「由紀ちゃんは可愛いんだから、声をかけられたことあるんじゃない?」

「ないですよ。そんなに学校行ってないのに。」

「私が男子なら可愛いってなるけどなあ。」


あとは下だけ。

先に足を拭いて、それからオムツを脱がす。

「おしりとかは自分で拭く?嫌じゃない?」

「陽菜ちゃん全部拭いてくれてたから、お願いします。」

「わかった。」



拭き終わって、服を着せて。

「ありがとうございました。」

「ううん、また夜ご飯持ってくるね。」

お礼をしてくるのほんと偉いよね。


1時間くらいして、ご飯を持っていったら、由紀ちゃん泣いてて。

「あっ、どうした?具合悪い?」

横に振って答えないしとりあえず小嶋さんを呼んだ。

「由紀どうした?また淋しくなっちゃった?」


小嶋さんが、たまに急に泣き出すときは寂しくて泣いちゃうときがあるって言ってた。

「大丈夫だよ」ってギューってして、泣き止むまで抱きしめてあげる。

由紀には大事なことなんだよって。


「大丈夫だよ。」

って頭を撫でてあげて。

少ししたら泣き止んで。


「ごめんなさい、泣いちゃって。」

中学生なんだもん、寂しくて不安になるのは当たり前だよ。寂しくて仕方がないときはなるだけ来るから、ナースコール呼んでね。遠慮しなくていいから。」


「ありがとうございます」


「ごめん、由紀私は帰るね」

「陽菜ちゃんもごめんなさい。」 


宮澤さん、心配になったのかしばらく隣にいてくれて。

「もう大丈夫です。」って言ったんだけど、

ご飯たべて私が寝るまでいてくれた。