神話は記録書でもあった。

時代(天皇)を変え、各神社の神や祭祀の始祖、土地の由緒を述べているのだ。

 

大物主神も、出雲の神の大国主神も、すべて彼に繋がる。

名を変えた彼を祭祀する者は、みな彼の子孫であった。

 

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★目次

☆1 大神神社の祭祀者の始祖

☆2 倭迹迹日襲媛命と大物主神

☆3 出雲大社の祭祀者の始祖

 

  大神神社の祭祀者の始祖

崇神天皇の項。

大物主神の名が登場するが、崇神天皇は10代天皇である。

彼は神話では「国譲り」の当事者なので、天皇よりはるか昔。

 

だが、実際は3世紀(200年)前後の者。

国譲りから「その間」は無いのである。

 

倭迹迹日襲媛命と夫婦になる話はそれを表している。

 

*****

 

大物主神を祀る「大神神社」の始祖の由緒を語るものになる。

 

(名前がたくさん出て、混乱しそうですが、祭祀の始祖の名以外はみな同神です)

 

(以下、参考 岩波文庫「日本書紀」)

物部の八十平甍を以て神祭之物(かみつくりもの)と作(な)さしむ。

すなわち大田田根子大物主神を祀る主とする。

三輪君等の始めの祖なり。

 

「物部の八十平甍(やそびらか)」とは、饒速日命が率いていたという八十氏の武人の伴(注訳より)

 

大神神社

 

「すなわち」なのだから、大田田根子命が物部の八十氏の一員(一族の者)であり、物部氏だと示唆している。

 

この意味は、

<大物主神を祭る三輪君等の始祖、大田田根子命は、饒速日命が率いていた物部の一族の者。>

 

それは、大神神社の大物主神は饒速日命ということでもある。

 

 

その視点で、この前文も見ていく。

 

 

登場する男神は系譜ではなく、まとめて同神と推測される。

 

(以下、岩波文庫「日本書紀」参考)

崇神天皇の時、災いが起こる。

倭迹迹日襲媛命が神がかりをすると、大物主神が現れた。

 

「我をよく祀れば、国は平らになる」

大田田根子に祀らせたら鎮まった。

 

この大田田根子、父が大物主神、母が活玉依姫(陶津耳の娘)。

また陶津耳奇日方天日方武茅渟祇(くしひかた あまつひかた たけつぬつみ)と同神とある。

 

*注釈には「先代旧事本紀に饒速日命五世孫の子、崇神天皇の母伊香色謎命の弟(天皇からみて叔父さん)」とあり。

(「先代旧事本紀」は饒速日命の血を受け継ぐ者と言いたい)

 

*「日本書紀」では、大物主神活玉依姫陶津耳の娘)の子の櫛御方命の子の飯肩巣見命の子の*建甕遣命(たけみかつのみこと)の子の意富多々泥古(おおたたねこ)。

(「日本書紀」の注釈には、*建甕遣命が建甕槌命となっており、同神であった)

 

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まとめると

大物主神、奇日方天日方武茅渟祇、櫛御方命、飯肩巣見命

建甕槌命、そして「先代旧事本紀」の饒速日命。

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大物主神は饒速日命。

武甕槌神は鹿島神、春日神。

高良神と同神であり、物部の祖神の饒速日命。

 

彼には櫛甕玉彦の名もある。

「甕」は彼を意味するもの。(天津甕星も)

 

奇日方の奇は櫛を意味するもの。

 

他の神もまた、名を変えた彼なのである。

 

 

  倭迹迹日襲媛命

 

大物主神の后とある活玉依姫も、彼女と同神。

饒速日命の后の御炊屋姫

後に大物主神の妻となる倭迹迹日襲媛命さえも彼女と同神なのだ。

 

彼女は筑紫では神功皇后。

祭神の宝満宮竈門神社には、彼女と玉依姫が祀られる。

同神ゆえだ。

(☆配祀の神はすべて二柱に集約*同じ)

 

このパターンは八咫烏関連にもある。

親等(の時代も)がおかしく、またどれを辿っても彼、饒速日命になった。

 

「崇神天皇」さえ、彼だと考えている。

 

 

  出雲大社の祭祀者の始祖

これも上と同じ、神社の神と、祭祀の始祖の由来を語るもの。

 

出雲大社の出雲神の祭祀にまつわるものになる。

 

出雲大社

 

(以下、岩波文庫「日本書紀」参考)

武日照命(たけひなてるのみこと)が、昔、天から持ってきた神宝が出雲の大神の宮におさめられていた。

 

*武日照命は、別名を武夷鳥(たけひなとり)、天夷鳥という者。

(注訳には*出雲臣の祖神。神代記に天菩比命の子、建比良鳥命は出雲国国造らの祖とあり、出雲国造神賀詞に出雲臣の遠祖天穂比命の子とある)

 

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出雲大社の神、大国主神は大物主神であり、饒速日命であった。

天から直接、神宝を持ってきた者は、彼である。

 

武日照命武夷鳥天夷鳥天菩比命、天穂比命は皆、彼になる。

 

出雲国国造らの祖の建比良鳥命は彼に連なる者か、同神を意味している。

 

 

時代を変え、各神社の神や、祭祀の始祖や、土地の由緒を述べているのだ。

「先代旧事本紀」は物部が手を入れた書なので、より彼に絡めている。

 

書により名など違いはあるが、みな二柱の神しかいないことに気づくだろう。

 

 

 

( つづく )

 

*参考

岩波文庫「日本書紀」

角川文庫「古事記」中村啓信 著

 

 

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