友人は首をすくめて塀の外を気にしている。
「警察なんかあてにできませんよ。
近所迷惑なんで話だけしてきます。
所詮チンピラですから。
ここにいて、出ないでくださいね。」
山野は落ち着いて諭す。
「え? はい。気を付けて」
老人
壊れたシャッターの門をくぐり、道に出る。
塀の横に黒いセダン。
その後ろに前歯を隠して山野をにらむチンピラ。
「出てきました。
アニキ、こいつですよ。
ヤイヤイヤイ、前歯と頭蓋骨とスマホの落し前、つけてもらおうかっ!」
と口を隠して恫喝してくる。
【スイーーン】
セダンの窓からオールバックの痩せた男が山野を見ている。
「あんたかい。
うちの舎弟にケガをさせたって?」
「知らねぇな。
テメェで投げたゴミ袋でフライの練習してたらしいが、顔面キャッチしたなら見たかったなぁ。」
山野も口を押さえてみた。
「なるほどな。
で、どう解決する。
全治1ヶ月というところか、
治療費、慰謝料。
ざっと見積もって、、、
50
妥当かな?」
オールバックが指を追って数える。
「あれに?
そんな大金ないな。」
山野は小銭入れを開く。
「この野郎。
50万だぞ!
小銭入れなんかだしやがって。」
チンピラ
「お、金額を提示するとは。
頭蓋骨 心配しちゃうなぁ。」
山野
「バカが。」
オールバック
「へ?
おちょくりやがって。
そうか、そうか、
なら、奥の手よ。」
チンピラは何かを隠し持っていた。