夢の星 14 | クーカーの 笑説

クーカーの 笑説

コメディ小説を書いてます。

小説ほど難しくなく
コントほど面白くない
クーカーの笑説
1ページ1分くらいです。
サクサクと読んでくださいませ。

「ご近所の皆さん、
     私がこの、迷惑千万なゴミ屋敷に
   改善を要求してきましたが、
  この通り、あの住人の方を持つ男に暴力を振るわれました。
   私は、地域住民を代表して、
     皆さまの住み良い地域づくりに貢献してきました。
  しかし、
    今回の暴力事件をもって、強制的に立ち退きを要請するものであります。」

チンピラは拡声器をセダンから出していた。
あのクラクションから野次馬が増えていたが、
住民代表というところからは、野次馬は顔をそむける。
そして、関わらないほうが身のためと散らばっていった。

「だから片付けてるんだよ。
    そこに、あなたがゴミを放り込む。
   ここの住人は、出すゴミが毎回返されて困っていた。
    そのうちにゴミを出すのが怖くなって、過剰梱包の食品は購入もできなくなったそうだ。
    実際、へんな条令のせいでゴミの分別が難しくなっている。
  だから、適当に出すのではなく、誰かが手を貸せば良かったんだ。」
山野

「あんたのいう通りだね。
    手伝ってやることを考えないで、臭い、汚いって文句ばっかりだったよ。
お向かいさんも、好きでゴミ屋敷なんか住みたくなかったよね。ごめんなさいね。」
野次馬のおばさんが山野に拍手した。

「片付け?
   人助け?
     そーゆーのいいから。
        こんなゴミ屋敷、火をつけてスッキリ片してやるよ。」
チンピラはセダンのトランクから火炎ビンを2つ出した。

「交渉決裂じゃしょうがないね。
    アイツ短気だから。」
オールバックはトランクのレバーから指を離す。

「やめろ!」
山野

「じゃ、やめた。」
と火炎ビンの布に火をつけて塀の中に投げ込む。

「あっ!」
山野はシャッターをくぐり庭に走る。

「あっ、火だ!
     ゴミに引火してる!」
老人

「水、水!」
友人

「チクショー‼」
山野は燃えたゴミだけ取り、放り投げた。

ゴミの山の半分、
引火したゴミ袋は燃え盛る。

【ッボッ】
もう1つの火炎ビンも降ってきた。
液体が飛散しすぐに炎に変わる。

「危ないっ。」
山野

「金魚の水槽から水を汲んできた。
    それっ!」
友人は手桶でゴミにかける。

【シュゥー】

「消防に電話する!」
老人が家に土足で上がり受話器を外して119する。



【ファーーーーン】
クラクションだ。

山野の目に車庫から光るものが見えた。

ドアに差したままのキー。

「チンピラァァ!」
山野は運転席のゴミを掻き出し乗り込み
キーを回す。

【クキュウクキュウクキュウクスン】
セルが回らない。
【クキュウ、クキュウ、   クキュウ】
「だいぶ乗ってないようだ、かかれっ。」

【クキュウ、ククク、ゥォオオオン。】
「よし、逃がさねぇぞ。」

【ボゴボゴ】
ボンネット、屋根の上に積まれた段ボール箱を庭に撒きながら車庫を飛びだした。


「えー、
     片付けお願いして、散らかしていくのね。」
老人