老人は友人の顔を覗いた。
「さっきからやたら酒ビンやビールの缶が出てくるけど、
ノイローゼになってるのか?」
友人
「おら、酒なんか、」
山野
「え?
ちょっと待った。
さっきの野郎のゴミ袋。」
投げ込まれた袋を開ける。
老人
「こりゃ、ビールの銘柄がおんなじだ。
ここのゴミはあいつが。」
友人
「おらもおかしいと思ってたけど、
気がつかなかったなぁ、情けねぇ。」
頭を掻く。
そこへクラクションが鳴る。
【ファーーーーン】
アニキとやらの車だろう。
嫌がらせに来たようだ。
老人
「出るこたぁないよ。」
山野
「はい、そうですね。」
【ファーーーーン】
【ファーーーーン】
さらにうるさくなるクラクション。
「ジジイ出てこいっ!」
「ただじゃすまねーぞこらっ。」
塀の外で怒鳴っているのはさっきの野郎だ。
アニキを呼んだ以上只では帰せなくて必死だろう。
山野は塀の外の野郎の位置の見当を付けた。
「こりゃ返品だ。」
酒ビンを詰めた袋を投げ返した。
【ガシャ】
袋は地面に落ちたようだ。
「イテェ、前歯が折れた。
慰謝料払えこらぁ。」
ハッキリとしゃべっているから、それはないだろう。