三人で作業を始めてしばらくして、
≪ポフッ≫
と音がした。
山野が音の方に近づくと、塀を越えてゴミ袋が投げ込まれた。
「はぁ?
ふざけた野郎だ!」
山野は走って塀の向こうの男を突飛ばした。
「いてっっ!」
若者でもなく中年のようだ。
「なんてことしやがる!」
山野は塀に男を追い詰めた。
「なんだよ、息子か?
ゴミ屋敷のせがれかよ。
こっちは、悪臭で飯も食えねぇんだ、その上、暴力でもふるおぅてか?オイ!」
男は開き直り胸で山野を押し返す。
「お兄さん、ここは穏便に。」
友人が小走りに出てきた。
「やい、ジジイ。
何度も何度も言わせんな。
そのうち火ぃ着けるぞ。
ジジイもゴミと一緒に燃えち
≪ボグッ≫」
言い終わる前に山野の拳がこめかみにめり込んだ。
「お兄さん」友人
「あんた!」老人
「いっイテェ、頭蓋骨折れた。
慰謝料。慰謝料。
あっ、あぁ〰。」
ゆっくり手を着いて倒れる男。
「大丈夫かね。旦那さん。」
友人が座り込み顔を覗く。
「け、警察呼ぶからな。
あっスマホが割れてる。
弁償してもらうぞ。」
男がしっかり割れたスマホを掲げる。
「俺が呼んでやるよ。
脅迫の現行犯だ。」
と山野がスマホを取り出す。
「脅迫だと?こっちは暴力を、」
男は立ち上がると別のスマホで電話をかけた。
「アニキ、ちょっと来てもらえますか?」
「おいおい、チンピラかや。」
老人
「ほっときましょ。」
三人は作業に戻る。