夢の星 10 | クーカーの 笑説

クーカーの 笑説

コメディ小説を書いてます。

小説ほど難しくなく
コントほど面白くない
クーカーの笑説
1ページ1分くらいです。
サクサクと読んでくださいませ。

役所もサジを投げたゴミ屋敷。

困っている老人の友人宅に歩いた。

ここです。
と老人に言われる前から異臭がしていた。

一戸建てのガレージにはバンが1台ある。

そのバンはもう走ることはない。

高齢者事故の増加から、
免許証に年齢制限ができた。

つまり老人が運転できるのは、私有地かサーキットしかない。

その代わりシニアカーが普及した。
カセットコンロ燃料や
灯油で発電するハイブリッドも。

制限速度は上がり、道路にシニアレーンまでできたのだ。(歩道の車道側)

スマホのスタンドつきでGPSとライブカメラで家族に見守られている。

そして、各家庭の車はゴミ入れになることが増えた。
捨てられずにたまるゴミを車に押し込んだ。

それが溢れるとガレージに。

それも生活すれば増える一方だった。

玄関には
【臭い】
【出て行け】
【いい加減にしろ】
などの貼り紙。
その下からチャイムを探し、老人が押す。

『俺だい。大丈夫かね。』
声を張って友人を呼ぶ。

≪カチャ≫
玄関は少し開いて、老人の顔を確認してから友人が出てきた。

山野は貼り紙をむしっては丸めた。

「誰だい?
      役所かい?」
友人は山野をドアに隠れて覗く。

「彼は、ゴミの処理を手伝ってくれるらしい。」
老人

「こんにちは。」
山野は丸めた紙をポケットにねじ込んでから会釈した。

「悪いですよ、
      私の甲斐性が無いばかりに。」
ドアを開けて半身を出した。

「いや、
    私が高齢になったらみんなこうなりますよ。
     環境、環境って人間のことは後回しの政治家だって、こうなります。」
と笑ってみせた。