夢の星 8 | クーカーの 笑説

クーカーの 笑説

コメディ小説を書いてます。

小説ほど難しくなく
コントほど面白くない
クーカーの笑説
1ページ1分くらいです。
サクサクと読んでくださいませ。

「あれは、
    事故だったんだ、
      俺は、」
山野は殺害の経緯を簡単に話した。


ゴミの分別が細分化されるようになり、
ゴミ袋の記名とゴミ収集パトロールが義務付けされた。

あの駐車違反パトロールみたいなゴミ保安係が金属探知機を振りかざして収集場を回る。

≪キューロキュロキュロ≫
『金属混入あり。
      撮影。
    撮影完了。
   警告札   よし!』
と言って、写真を撮られ、はじかれる。

そして、それは回収されない。

生ゴミは水分を吸う紙を入れることになり、プラスチックは資源として分別し、
プラスチックゴミの日に出す。

これは地球環境を守るという名目だが、
ストレスにしかならない。

しかし、ゴミ処理費用を浮かせないと地方税を上げるという脅迫までしてくる。

山野は、その日も自分の収集場ではじかれたゴミ袋を見つけた。

それを袋の名前の家に持って行く。

そこにはもう何度も行った。

立派な屋敷の門の前にゴミ袋を置いて立ち去ろうとしたが、
門の隙間から異様な光景を見てしまう。

立派な門の内側は、ゴミの山になっていたのだ。

干上がった池にはゴミ袋が積んであり、
伸びきった芝生には錆びた空き缶が転がる。

一斗缶にはゴミを燃やした形跡と、立派な植木には灰が降り注いでいる。

山野の気配に老人が出てきた。
「ごめんなさいねぇ。」

ゴミ袋を持ちあげ、頭を下げる。
そのまま引っ込むと門を閉めた。

「あのぅ、」
閉まる寸前、山野は老人に声をかけた。