夢の星 7 | クーカーの 笑説

クーカーの 笑説

コメディ小説を書いてます。

小説ほど難しくなく
コントほど面白くない
クーカーの笑説
1ページ1分くらいです。
サクサクと読んでくださいませ。

山野は廊下を進む。

「そっちじゃない。こっちだ。」
マスクを外してクリアな声が廊下に響く。

振り返るとマスクの跡がのこる顔はクシャクシャのおじいさんだった。

「はい、こっちですか。」
おじいさんに着いていく山野。

作業服は粉塵だらけだからエアシャワーを浴びるようだ。

基本、看守と受刑者は同じ場所で会うことはないという。

看守は清潔な部屋から出ないし、
受刑者がそこに入ることはない。

確かに廊下も出口からエアシャワーまでは汚れているが、
そっち  はピカピカだ。

汚れが目印なら迷う心配はない。
汚れた所は看守に会わない安全地帯か。

靴の汚れを回転ブラシで磨き
手を粉の石鹸で洗う。

強めのエアシャワーは東京ドームの出口のような風圧だ。

さっぱりはしないが、プラスチックの粉は飛んでくれたか。

紙マスクをしても鼻の穴は真っ黒。

房は、マスクの爺さんと一瞬だった。

「新入り。
    オメェは何やらかした?
    ここは、ハンパな罪じゃ来れないからな。」
爺さんはポケットから何かを出しながら山野に言う。

「人を 殺めました。」
山野は爺さんの背中に語る。

「ほう、最近はボーっとした奴の方が怖いっていうしな。
   オメェも人を殺す度胸があるんだな。」

「殺すつもりなんか、」
山野