夢の星6 | クーカーの 笑説

クーカーの 笑説

コメディ小説を書いてます。

小説ほど難しくなく
コントほど面白くない
クーカーの笑説
1ページ1分くらいです。
サクサクと読んでくださいませ。

とにかく金属。
それと、電子基盤はポイントの還元が大きいという。
レアメタルの回収だ。

カゴには巾着の袋を開いて被せる。
スーパーのマイバックの要領だ。

その内側のポケットは基盤用。
他は金属でいっぱいにしないといけない。

ここでオモチャを拾い上げて、基盤をほじくりだす。
ネジは大きな袋へ
基盤は小さなポケットへ。

ポロポロと7つのネジが袋に入る。

ため息も浅くしなければならない。

「無理だ。
    そもそもプラスチックゴミに紛れた金属を回収なんて、
   四つ葉のクローバー探しじゃねぇぞ。
    金属探知機でもなきゃ見つからねぇ!」

ゴム手袋でプラスチックゴミを掻き回す。

ここに来て数時間で作業服が真っ黒になった。

ゴム手袋も穴が開きそうだ。

「大物だ!」
と引抜いたのはシルバー塗装のバンパー。
1つのネジも無い。

カゴの底が隠れるようになったのは3時間後だった。

腰を伸ばし、ゴミ山を眺める。

防毒マスク連中は数人いて
中央のゴミの投入口が開くと新しいゴミに群がった。

そこには金属が混じったゴミがあるのだろ。
中央から押し出されたゴミはもう金属の塊は外された後だ。

防毒マスク連中のおこぼれから金属を探しているから効率が悪い。

しかし空気口のそばしか息はできない。

結局、終了時間を迎えてしまった。

カゴの半分にも達していない。

もちろん明日も紙マスクだ。

終了時間のサイレンがなると
壁からロボットアームが出た。

アームはカゴを掴み、カニの食事のように壁の穴にそれを運ぶ。

受刑者は胸のボタンを長押しすると
背中のバーコードが光る。

今度はUFOキャッチャーのようなクレーンが天井から降りてくる。

ブランコのような、スキー場のリフトのようなイスに腰をかけるとドアの前に運ばれた。

『残念だったな。』
さっきのマスクがいた。

二人でドアを出る。