夢の星5 | クーカーの 笑説

クーカーの 笑説

コメディ小説を書いてます。

小説ほど難しくなく
コントほど面白くない
クーカーの笑説
1ページ1分くらいです。
サクサクと読んでくださいませ。

まったく。
マイクロプラスチックなんて大騒ぎするから、こんな刑務所ができるんだ。

ま、気楽にやるか。
15年も経てば、ハイテクマシンで一瞬で分離なんて終わるようになるさ。
そしたらモニターでも眺めてりゃ1日が終わるかもな。

なんて、
足下のゴミを右足の長靴で掻き回していた。


『ブゥー、ブゥー』

なんだ?
ゴミの山にはブタがいるのか?


『ブゥー、ブゥー、オイッ!』
誰かに作業服の襟を掴まれた。

「離せっ!」
山野は振り返る。

『ブゥー、ブゥー
     死にてぇのか新入り。』

山野は後退りした。
軍隊のような防毒マスクの男がいた。
ほころびてる作業服。
薄いラバー手袋。
腰には工具袋を下げている。

まさに職人のいでたち。

『新入り、紙マスクなら極力息をするな。
 浅く息をするんだ。

   キサマの懲役の年数に興味はねぇが、
    ここでポックリか、
    シャバで寝たきりになりたくなければ、成果を出せ。ブゥー。

    そのカゴ一杯の金属でマシなマスクに変えてもらえる。
    死にたくなきゃ集めるしかねぇ。
   19時までが作業だ。
   明日にゃリセットされる。

  今日中だ。カゴ一杯にしろっ。』

ブゥーはマスクから漏れる息の音だ。

『あそこの空気口まで行け。
   そこの空気はまだ吸える。』

「はっはい。」
とんでもないところだ!
山野はクロールのように空気口までカゴを引いた。

息もまともにできない刑務所。


本当に地獄じゃないか、
どうしてもマシなマスクを手に入れないと。

カゴ一杯の金属。
目を凝らしてもオモチャのネジしか見当たらない。