V・S(18) | クーカーの 笑説

クーカーの 笑説

コメディ小説を書いてます。

小説ほど難しくなく
コントほど面白くない
クーカーの笑説
1ページ1分くらいです。
サクサクと読んでくださいませ。

≪ギャオオオン≫

何の鳴き声?
ゴジラ?   恐竜?

『ローレン!』
先生は娘さんに覆い被さる。

そこに天井から蛍光灯が落ちてきた。
≪ブシュン≫

背中に粉々の破片をかぶったまま這って、壁際に二人で張り付いく。

『キャーッ』
ローレンさん?も耳をふさいで悲鳴をあげた。

≪ズジーーーン≫
振動が大きくなる。

僕の視界が揺れている。

壁の 
口の断面の表 
がペロンと剥がれる。


そこから壁にヒビが入ったかと思うと
ボロッと穴が開いて、大きなワニの口が入ってきた。

口先をグリグリして穴を広げる。

怪獣だ!
すぐに逃げないと、
体を椅子から起こした瞬間、

真正面の、その口がガバッと大きく開いた。

ヌメヌメしたワニのノドが目の前に迫る。

近い。
起き上がった体をサッと倒して椅子に押し付ける。

≪バグ≫
大きな上顎と下顎が僕の鼻の前で閉じた。

その風圧で、ワニのヨダレと、鼻先に付いていツタの葉っぱがゴーグルに貼り付く。

『うわっ!食われるぅ、おおおっ!』

≪バグ、クァ、バグッ≫
目の前の口は、横向きに変えて、今度は左右から噛みつこうとする。

それが僕の腹の上で閉じたり開いたり。

ついに頭全部を壁の外から治療室に押し込むと大きな瞳がギロっとこっちを見た。

なんだこいつ。
ワニじゃない。

少しモアモアの毛が生えている。
ヌヌッと頭の後ろに長い首があり、穴を広げて滑りこんで来る。

口がもっと近づいたのだ、

もうだめだ、
僕なんかひと口で食える口をガァとゆっくり開けて、頭の左右にあるダチョウみたいな目ににらまれた。