右、左、アップ、ダウン。
まあ発音はまだ正確ではないが、先生とのやり取りはできる。
(それでは、今日はここまで。
よくおさらいをしておいて。
またお会いしましょう。)
と字幕が出て、ケベン先生が会釈をする。
どうやら授業は終わったようだ。
なのでヘルメットを外そうとアゴヒモのバックルに手をかける。
その時
≪ググーン≫
椅子から振動が伝わる。
≪ゴグググーン≫
今度はさっきより強く。
この椅子にマッサージ機能でもあるのか。
勉強で疲れた体をほぐしてくれるサービスがあるみたい。
あー、気持ちい、い、い、い
なんて思っていると。
≪ズガァーーーン≫
建物ごと振動する激しい揺れ。
地震!
いや、一瞬の衝撃だった。
遅れて、あの辞書の入った棚が前に倒れた。
≪アゥッ!≫
先生
≪ダディ!≫
娘
先生とお嬢さんがその場に倒れこむ。
≪ズグゥゥゥン≫
僕は椅子のひじ掛けにしがみついた。
もう、帰りたい。