お客さんは、拍手をやめて静まり返った。
そして、
上野は、
「ごめんなさい。」
と語り出した。
伴奏を止める。
「皆さん、私は
鉄の掟を破って、町を出ました。」
『え、何?』
『出ちゃダメなの?』
「もちろん、許されることではありません。
皆さんは、この町を愛し、そして、
掟を守ってます。
こんな盛大なイベントにお誘い頂きましたが、今朝までお断りをしてました。
こんな私が、
皆さんの楽しいイベントで、ノコノコ出てくるなんて、とても・・・」
嗚咽が漏れる。
「あの日、私はここで、
あのホームのベンチで、愚かな行動に走ってしまったのです。
今日は大事なクリスマスパーティーを台無しにしてすみませんでした。
ただ、この場を借りてきちんとお詫び申し上げたく、出てきてしまいました。」
また深く頭を下げる。
『何言ってんだい!』
『そうだ!』
そして、同年代と思われる女性がホームに上り、彼女を囲んだ。