鉄の園 27 | クーカーの 笑説

クーカーの 笑説

コメディ小説を書いてます。

小説ほど難しくなく
コントほど面白くない
クーカーの笑説
1ページ1分くらいです。
サクサクと読んでくださいませ。

ロータリーは動くのがやっとの混みようで、
露店の裏の飲食スペースも満席となった。

『鉄板プレスイカソバ』
は、兵器工場の文化財化を記念して、
『鉄砲つぶし焼き』と改名された。

甘酒や飲み物の店、
鉄器の店、
なども並んだ。

午後1時
お待ちかねの ゆるキャラ発表の時間だ。

それは、駅舎から出てきた。

全体にタマゴ形のシルエット。
羽釜の胴体に刀を差して、頭は石炭のパーマ
で頭頂部はメラメラと赤くなっている。

目は大きくて、良く見るとフライパンの小さな取っ手が目尻にある。

そうなると、目は目玉焼きである。

それが短い足で歩いてきたのだ。


「皆さんはじめまして。
       わたくしは、
   タマゴサムライ 
        鉄山テッキー  でござる。」
目尻の取っ手がグイッと上がって凛々しい顔になる。

『ぉおー。』
『目が動くんだ。』
『やっぱりテッキーか、予想できた。』
『刀はわかるけど、タマゴの意味なに?』
『デザインの結果じゃない。』
『タマゴの名産ありませーん。』

「それはだね。」
絶対に駅舎からマイクで話していると思われる声優担当。

ギャラリーの突然の沈黙に焦ってしまう。

「それは、この町の殻を破って、新しい町になるためだよ。       でござる。」


『ぉおー。』
『すげー。考えてるぅ。』
拍手が起こった。

『テッキーかわいい!』
『テッキーグッズ売ってないのー?』
と女性の声。

「照れるでござる。」
石炭のメラメラの電飾が赤く点滅

「テッキーくんダメよ。
        ゆで卵になるから。」
市長

『ハードボイルド、テッキー。』
目玉焼きが流し目になる。

ギャラリー爆笑!