林の中の廃墟のようなビルだ。
換気扇から煙が出ている。
この中でどんなことが行われているのか。
軽トラを敷地の外に停めた。
林の木々の間をすり抜け、ビルの裏手に回る。
壁をつたいながら歩き、裏口を見つけた。
ベレー帽を脱ぎ、窓ガラスに充ててパンチで割る。
≪グシッ≫
少しヒビを入れて、腕の入る穴を開け、内側の鍵を外した。
ベレー帽のガラスの粉をはらってからかぶる。
一階は倉庫のようだ。
完成品の見覚えのある段ボールが山積みされている。
その向こうには新品の段ボール箱。
市販の羽毛布団を買ってきているようだ。
とすると段ボールだけ替えて売っているのか?
とにかく二階に上ることにした。
階段を上りきり、廊下を進む。
すりガラスの窓がある鉄のドアの向こうから機械の音がする。
すりガラスの人影から従業員が動き回るのがわかる。
潜入は困難だ。
しかし運のいいことに更衣室を見つけた。
ロッカーに新品の作業着がある。
これに着替えて鉄のドアを開けた。