人混みのアーケードを電動自転車で疾走する老人。
火の付いたタバコを投げ捨てた老人。
ラジカセを持ち出し、爆音の演歌で躍り狂う老人集団。
コンビニの駐車場にシニアカーを乗り付けてたむろする老人。
トンネルや橋の下に落書きする老人。
「どうじゃ、達筆じゃろ?」
「達筆過ぎて読めん。心・・」
「これはな、心筋梗塞じゃ。」
「なら、おらは英語だぞ。
リ、ウ、マ、チ。」
「それ、カタカナ。」
「ハッハッハ。」
「なんなんだ。いったい。
ヤンキーと変わらないじゃないか。
あの爺さんは、昨日会ったぞ。
そうだ!羽毛布団を配達した。」
リウマチ爺さんに見覚えがあった。
「高齢者 - モラル + 元気 = 羽毛布団。
何だこの計算式 ?」
そしてタブレットを手に取り、羽毛布団の伝票を開いた。
「送り主は誰だ?」
伝票の写真を拡大する。
「これだ!
大変なことになるぞ。」
そのままタブレットで白髪シェフにテレビ電話をかけた。
「はい社長。」
「仕事中にすまないが、午後に配達を手伝ってほしい。
どうやら動き出したようだ。」
社長