バスは 回送 の表示を 大学病院行き に変えた。
これは回送の表示だけを目印にしているパトカーを撹乱させる目的だ。
そこからは目立たないように平然と走るよう命じる。
しばらく穏やかに走っていたところに、犯人を激情させる出来事が起きた。
≪テレテレテレン
テレテレテレン
テレテレテレン♪≫
(何の音だろ、聞いたことあるぞ。)
「あん?後からだな。」
(おい、俺のケータイだ!
うわわわ、なんでだよ。)
基盤が乾いて勝手に電源が入ったようだ。
そこに電話がかかってきた。
「はい、荒俣です。」
『どうした?小声で。
今日はなぜ休んだんだ?』
「今までケータイが壊れてまして、」
『公衆電話だってあるだろ?
無断欠席だぞ。
今から出勤するか?遅刻になるけど。』
「今はだめです。
いや今日はだめです。」
『え?何をしてんの?』
「何にもできないんです。
今、バスジャックの人質になってるんですよ。」
「あれ?寺の酔っぱらい がいた。」
犯人
「み、み、見つかった!
課長、恨みます。」
「はい、残念。
課長さんのおかげで人質が増えた。」
犯人