警察にはバスの情報も寄せられた。
パトロールに出ている市役所職員や、消防団からだ。
「コミュニティーバスが回送で走っていた。」
「カーテンを閉めていて中は見えなかった。」
そして
「運転手の隣にスーツの男がいた。」
「白か灰色の服だったなぁ。」
通報も入る。
「包丁を持っている男がバスにいた!」
警察はコミュニティーバスでバスジャックが発生したと全警察官に知らせた。
特殊部隊 S.O.R.E
[セキュリティ オブ レスキュー エージェント」
通称 ソレに出勤要請。
S.O.R.Eは、同型のもう1台のコミュニティーバスを借り上げ、突入訓練を開始する。
そんなことは知らずハイジャックバスは市内を走行している。
荒俣は異変に気付く。
≪ボロボロボロボロ‥‥≫
バスのそばをヘリコプターが飛んでいる音がする。
屈んだままカーテンのすそをめくり窓の外を覗く。
やはりバスを追ってきた報道のヘリコプターだ。
その映像はテレビ中継はされていない。
報道規制だろう。
そして
≪ポリポリ、カリカリカリカリ≫
今度は何の音だ?
荒俣はバスを見回す。
のんきサラリーマンだ。
小分けの柿の種を食い始めている。
(あいつ最強だな。)