最後に本堂によって拝むことにする。
「このお寺には初めて来たが、何べんもお参りした気がします。
前世に縁があるのでしょうか?
今日まで面白みのない人生だった。
自分のためだけに生きていた。
誰かのために、
そうですね、誰かのために
生きてみます。
そうだ、軟弱野郎が心配になってきた。
アイツ仕事に来るだろうか?」
そろそろ会社に行く時間になった。
しかし水没ケータイの回収が先だ。
あの橋へ向かう。
橋へ歩いてきた。
土手から川に降りる階段が見える。
「さてと。」
土手で革靴を片足脱いで止まった。
「なんか勘違いされそうだな。」
川岸まで来てから靴を脱いで、ジャボジャボと川に入る。
「気持ちいい。目が覚める。」
ついにケータイを拾った。
こっちは目覚めなそうだ。
「このまま会社には行けないな。
銭湯でもあればな。」
ハンカチで足を拭くが川の独特のにおいが移る。
「漫画喫茶。
あそこにシャワーがあったぞ。
ライフシティの方だ。
急がないと。」
ライフシティまで早歩きする。
「腹が減ったがシャワーが先だ。
千円で足りるかな?」