余命 24時間 27 | クーカーの 笑説

クーカーの 笑説

コメディ小説を書いてます。

小説ほど難しくなく
コントほど面白くない
クーカーの笑説
1ページ1分くらいです。
サクサクと読んでくださいませ。

≪ジュブォーーン≫
河面に水柱が立った。

「ぅ、うわぁーーー!」









ジャケットの内ポケットから携帯電話が滑り落ちたのだ。

「ケータイ落とした!

 どうしよっ

  警察だ、警察にお願いしよう。
   ‥‥あれ?‥‥あれ?」
内ポケットを探すどうしょうもない酔っぱらい。

「ダンナさん、どうかしました?」
そこにたまたま警察官がパトロールしていた。

「わ、おまわりさんがいた。」

警察官を見て驚く怪しい酔っぱらい。

「ちょっとお話ししましょうか、座って下さい。」

「俺、いや私。
   通報しました‥‥か?ウヒィ」

「通報するところだったのですね?
  事件ですか?
   ひったくりとか?」

「えぇ、自殺ですよ。自殺。」

「自殺!

    至急至急。応援願いたい。」
無線を入れる警察官。

「早く助けないと、アイツとは長い付き合いなんでふ、おまわりさん。」
欄干の外を指す。

「飛び降りっ!
   どこですか!」
警察官が河面を覗く。

「こっち、もっとこっち、そこそこ。」
座りながら河面を指すが指先が定まらない。

「いませんよ、誰も。」
ライトを照らす。

「いるでしょう、さっき上着から飛び込んだんたから。
   ケータイ。」

「ケータイ?携帯電話?」

「そお、ガラケー。
   青いの。
   パッカって開くの。」
両手でパカパカ再現する。


「ずいぶんできあがってますね。
   ちょっと交番まで行きましょう。」
警察官が荒俣の腕を持つ。

「ダメだ。
   あの軟弱野郎を助けるんだ!」

「もう、ケータイは朝お探しなられて、」

「アイツが腐ってしまう。
  アイツは衝撃に耐えられないんだよぉ。
   俺はアイツに助けられたんだぁ、馬鹿。」
涙ぐむ荒俣。

「残念でしたねぇ、ケータイ。」