チームは彼を責めるかもしれない。
彼は荒俣より気の弱い男だ。
今後、変な気を起こしかねない。
一旦は円満にお開きとなった。
荒俣も電車で帰るので駅に向かう。
やはり担当者の彼が気になってしょうがない。
1人でポツンと帰ったのを見ていたからだ。
引き返して気弱な彼を追うことにする。
まだそう遠くには行ってない。
荒俣の正義感なのか、興味心なのか、
いや、心配症なだけだ。
「あれれ、飲み屋からこう来て、橋を渡って、まだ見つからない。
あいつ、泣きながら走って帰ったのか?
橋。まさか、」
少し戻って橋を見る。
「欄干に靴なんか無いだろうな。
もちろんあるとは思ってないぞ。
あったら警察に通報だ。
一応、市民の義務だからな。」
前に通報者に文句を言った男。
橋の両側を調べるが靴は無い。
河面にも人影は無い。
欄干に腹を押し付けて下を探しているうちに気持ち悪くなる。
「ぅ、ウウェ!」
吐く寸前。
電車帰りと知られて、ジャンジャン酒を注がれ、断れずに飲んだ結果だ。
千鳥足でフラフラしている。
ミイラ取りがなんとかだ。
荒俣が落ちるかも知れない。