余命 24時間 25 | クーカーの 笑説

クーカーの 笑説

コメディ小説を書いてます。

小説ほど難しくなく
コントほど面白くない
クーカーの笑説
1ページ1分くらいです。
サクサクと読んでくださいませ。

前日 16:00

「あらまたぁーーっ!」

「はいはいーっ!」

「大変なことになったぞ、」

「あぁ、クレームですか?
   だいたい想像つきます。
   始末書を書いてきまーす。

   それと、このあと会議ですね?
   エアコン入れときましたー。」


「‥‥あ、ありがとう。」
呆然とする上司。

「荒俣さんどうしちゃったの?」
「さぁ?」
いつも見ないふりの社員も注目する。


「おーとっと、
   このあと電話がくるんだよな、見積りの書類は?っと。」

≪プルルル≫
女子社員が電話を取ろうとした。

「いいよ、俺だから。
       はい もしもしぃ、
    はい、荒俣でございます。
   お見積もりの件でしょうか?」

「おいおい、用件を聞けよ‥」
上司は荒俣な行動から目が離せない。

「なぜわかったかって?
     わかりますよぅ社長。
   いつも気にかけてますので。

  いやいやそんな、

  そろそろお昼が終わってデスクに着く時間ですよね?
    ちょうど今、こちらから掛ける所でしたから、」


「なんか、うまくいってる?」
上司もやっと座った。

そのあとは、さらさらと始末書を書いて提出。

クレームは向こうの勘違い、逆に感謝された。

「荒俣さん、すごいじゃない。」
女子社員に久しぶりに声を掛けられた荒俣。


「いやぁ、経験ですよ。」
(何回も経験した気がする。)

「荒俣くん、今日は飲みにでも行こうか?」
上司が声を掛ける。

「はい。」

定時に帰った。


飲み会の席にはプロジェクトチームも集まり、難を逃れた荒俣が称賛された。

そのまま反省会となり、そもそものミスの犯人が浮かび上がってしまう。

プロジェクトチームはその担当者を責める形になっていく。

とうとう土下座騒ぎになり、そこで

「いや、俺が悪い。
   俺は彼のアポの件は聞いてなくて、勝手に社長と話をしてしまった。すまない。」
と荒俣が土下座をした。

「ちょっと、何をこんなやつかばってるんですか。」
「荒俣さんが社長とやり取りしてたからクレームを回避できたんですよ。」

「いや、俺のせいだ。」

「荒俣さん、俺のミスだって。」
担当者が泣いて謝る。

「いいじゃねーか、
    もう始末書出しちゃったもん勝ちで。」
親指を立てる荒俣。

「そんなぁ、」