余命 24時間 24 | クーカーの 笑説

クーカーの 笑説

コメディ小説を書いてます。

小説ほど難しくなく
コントほど面白くない
クーカーの笑説
1ページ1分くらいです。
サクサクと読んでくださいませ。

「あ、バス変わったんだぁ。」
彼女はスマホをしまってから言った。

「こ、このバスは!」
路線バスではない。

さっき追い越していったコミュニティバスのようだ。
行先案内の表示はまだ遠くてわからない。

すぐにバス停の路線表を見る。
コミュニティバスはここには止まらずこの先の
郵便局前に止まる。

赤文字で
コミュニティバスは停まりません

とまで書いてある。

「やっぱりおじさんの勘違いですよ。
   あのバスは駅前行きです。」

「そうですか、ごめんなさいね。」

行先が読めたの?あんな遠くて。
若いって素晴らしい。


空き缶を捨てる所が無く、ポケットに入れる。


「えっ?」
彼女が驚いている。

「どうしました?」

「運転手の‥」

言いかけた時にバスがふらついた。


≪ブゴッ≫
突然 道沿いのブロック塀にぶつかった。



「危ないっ!
荒俣は彼女の前に出て、彼女の両肩に手をかけてバスと反対方向へ押した。

「キャア!」

「逃げて、早く!」

さっき見えた映像と重なっていく。


≪ギャーーー≫
≪ゥガァッ≫
バスから悲鳴が聞こえる。

≪ボゴボゴボゴボゴ≫
パンクしたタイヤの音だ。

近い!

「駄目かっ!」
彼女の上に被さる荒俣。

バスはベンチを弾き飛ばした。


≪ダフッ≫
それは荒俣の後頭部へ落ちてきた。
「ぎっっ、あっ、‥‥」



「え!おじさん?

       はぁっ!!
            キャアーーー」
彼女もそのバスを避けることはできなかった。




数十分後

手術台の上に荒俣はいた。


「こちらの方は頭蓋骨陥没、女性をかばったと思われます。
   お二人とも残念です。
   
   15時59分
     ご臨終です。‥合掌。」