余命 24時間 23 | クーカーの 笑説

クーカーの 笑説

コメディ小説を書いてます。

小説ほど難しくなく
コントほど面白くない
クーカーの笑説
1ページ1分くらいです。
サクサクと読んでくださいませ。

彼女のトークアプリの通知音が鳴って、
荒俣はビクッとした。

音に驚いたのではない。

(え、え?
  この景色、前にもあったぞ。)

彼女が
御守り買ったよ
と返信している。

「あの。お、お嬢さん。

「はい?」

「変なことを言いますが、聞いて下さいね。」


彼女は眉間にシワを寄せて少しだけ離れた。


「何もなかったらそれでいいんです。
   酔っぱらいのたわごとで済ませば。

  でも、もしかしてもしかしたらですよ。」


「は、はい。」


「今から来るバスが、ここで事故を起こす気がするんです。
   気がするどころか、二人とも事故に巻き込まれるようなイメージが見えたんです。」

「事故に?私も。」

「それで、どうしても伝えたかったもので。
 助かる道は1つしかないと思います。」


「あ、もしかして宗教の勧誘ですか?
  私が御守りを信じてるから、」


「え!
   違います。違いますっ。
   助かる道とはここから移動することです。
   バスはここに突っ込んできますから。」


「移動?
   遠まわりにお茶に誘ってます?」

「ナンパに聴こえてます?
   けっこう本気に警告してるんですがね。」


酔っぱらっているので緊迫感が無い。

「大丈夫ですよ、
       ほら御守り、ありますから。
    あ、バス来ましたね。」


「あ、来た!
    イメージと全く同じバスだ。」