女性は会釈したが、荒俣は目を反らして通りすぎた。
しかし、
あれ?
どこかで?
こんな景色。こんな経験。
デジャブというやつか。
また石段を降りる。
バス停で休む。
喉が渇いていたので、道向かいの商店へ歩いてビールを買う。
それを飲んで寝てしまった。
≪カコーン≫
空き缶を落としてしまい、ハッと起きるとさっきの女性がベンチの端に座った。
交通安全の御守りを眺めている。
あれ?
御守りを眺める仕草。
どこかで見たぞ?
衛星放送のドラマか?
映画かな?
思い出せない。
彼女のトークアプリの通知音が鳴る。
これも、見覚えある。
「この後、何か起こるような、」
荒俣が呟いた。
バスが来た。
「ゥアーー!」
≪ピーーーー≫
「15:59 ご臨終です。」