美和子を人質にSUVへ後退りする萬田。
マシンガン部隊も悔しい顔をしているが見守るしかない。
美和子は大丈夫とうなづく。
萬田はSUVのリアシートに美和子を押し込み、半身だけ乗り込む。
ステップに片足を残した姿勢で、ヌッと刀で隼人を指して見下ろす。
「ブザマだな。」
《パンパン》
運転席のヘッドレストを2度叩き、
発車の合図をする。
《グルグルグルグル、
キュッ。
ブォォーーゥ》
SUVは走り出した。
隼人
「組長さん、しばらく辛抱です!
必ず助けます!」
萬田は、小走りで追いかけ語りかける隼人をニヤリと笑ってドアを閉めた。
スロープを降りて外に出ようとするSUV。
そこにはシェフのトラックが横向きに停めてあった。
エンジンはパルス大砲を食らい動かない。
しかしシェフは下りのスロープを利用して、ニュートラルで車を進めた。
そしてもう1台、食事を配達に来たトラックをここに運転してバリケードを作っていた。
トラックの中の二人と、縛られていた門番はビルの中で保護されている。
萬田
「さすがにトラックに体当りは無理だ。
他に逃げ道は無いのか? 」
美和子
「駐車場の入口はひとつだけ。
残念ね、すぐ組員が追ってくるわ。」
萬田
「いや、ある。あるぞ。」