96 裏切り者 | クーカーの 笑説

クーカーの 笑説

コメディ小説を書いてます。

小説ほど難しくなく
コントほど面白くない
クーカーの笑説
1ページ1分くらいです。
サクサクと読んでくださいませ。

橋野は通路側に座っていたが、突然立ち上がった。

通路でクルッと向きを変える。

「どいてくれ。」

「止めて!」
ヨーコさんの声で橋野はバスの全員から注目を浴びた。

橋野は一番後ろの席に行こうとしている。

そこには父親が横たわっている。

だから、ヨーコは通路に立ちはだかったのだ。

「いいから。」
橋野は静かに言う。

「おい、橋野っ」
原島がドカドカと通路を歩き、橋野の背後に立つ。

「おい、中国の親父っ。」
橋野はヨーコの頭の上から父に言う。

「やめなよ。」ヨーコ

「橋野っ」原島

「あんた、娘の為とはいえ、エイジアを敵に回すとはな。」橋野

「バカだとでも言いたいの?」ヨーコ

「いや、すげぇよ!
俺にはできねぇ。」橋野

「橋野君?」高井

「悪かった。
俺は、
俺は、娘さんに
とんでもねーことをしたっ。」
橋野はヨーコの肩を押してどかす。

「きゃ。」ヨーコ

橋野は、そのまま、一番後ろの席に走り、
横たわる父親の顔の前に、

土下座をした。

「ごめんなさい!申し訳ねぇ!」


父親は「うぅ。」とだけ言う。

ヨーコさんも、フエさんも驚いていた。

「橋野、おまえ。」高井

「フエさん、親父さんをこんなにしたのは俺のせいだ。
俺を殴ってくれ、なぁ。
フエさん」
橋野はフエさんの右腕を自分の頬に引く。

「バッカじゃない?
フエさんは、野蛮なあんたとは違うわ」
ヨーコ。

「私、殴るよ。
ちなみに、クンフー、父に習ってるから。
凄く、痛いの。」フエさん


「げ。」橋野