社の周りでは蝉がやかましいほど鳴いている。
手入れがされていない社は、うっすら埃が溜まっていた。
舞い上げた埃は、ゆっくりと地面に降り直っているのが、窓辺の日射しでわかる。
原島さんは兵士の真横に座り、無線機を兵士の顔に近づけた。
防空壕では、フエさんが待機し、通訳をする。
「では、始めましょう。」
高井さんは落ち着いている。
それから、尋問 というより、質問が始まった。
兵士も、こちらの応対を受け入れ、素直に答えている。
水と、栄養ゼリードリンクの差し入れもした。
さっきまでと目付きが変わっている。
フエさんの通訳があって、エイジアの目的を探ることができた。
浄化という名目の、日本人捕獲作戦。
1人残らず首輪を付け、エイジア指令部の意のままに日本人を操る。
この占領行為が完結すると、中国、北朝鮮、韓国、フィリピンなどはエイジア国となる。
日本は、エイジア国の極東島という県名だそうだ。
国籍もエイジア人となり、日本の憲法は通用しない。
そもそも、なぜ日本を占領するかといえば
居住はもちろん、資源の確保である。
このテロまで、近隣諸国は数々の手で日本の出方を伺っていた。
尖閣諸島上陸や、ノドン、テポドンミサイル発射、拉致問題など。
日本は、戦争放棄、防御だけを真剣に貫いていた。
これが他国なら、即戦争に発展するはずだ。