社へ高井さんが出掛ける。
俺も付いていっていいようだ。
俺を連れてきた彼、原島さん。
原島さんも同行した。
防空壕を出ると晴れていた。
ジャワジャワと小川の音がする。
濡れた葉っぱを払いながら、獣道を進み、やっと社に着いた。
社の中には正座をさせられた兵士がいる。
猿ぐつわは外された。
代わりに足は縛られている。
その前に、ポーチとリモコン、首輪が並べてある。
連行した二人は木刀を握っていたが、それを使用した形跡はない。
俺は怒りがこみ上げている。
なのに、
高井さんは兵士の前に正座をして
ご苦労様です
と言った。
「ちょっと高井さん。」
こいつは敵ですよ。
兵士はシワのまぶたを持ち上げて高井さんをにらんでいる。
「大丈夫ですよ。
あ、無問題。」
高井
なぜだ?
兵士に優しすぎる。