防空壕にフエさんとヨーコさんが戻ってきた。
俺は、1人で出て行ったことを謝った。
「心配したんだからー」
ヨーコ
「オッサマさん、無事でよかたねー」
フエ
「申し訳ない。」
俺の心配まで。
全く、なんということをしたんだ。
「でも、助けて貰えたから許すわ。」
ヨーコ
「オッサマさん、ありがとーね。」
フエ
益々頭が下がる。
「あなたは、中国の方ですってね。」
高井
「はい。中国から来ました。
あ~、アルバイトして、中国の家族にお金、送ることしてる。」
フエ
「仕送りしてんだ、偉いなぁ」高井
「私の家族。お金少ないね。
だから、私、日本で働くこと、良い。」
フエ
フエさんの家族は生活が苦しいのか。
「フエさん、この事件で何か知らない?
例えば、日本を襲う計画とか。
中国で聞いたことないかな?」高井
「わからない。
オリンピック前から中国と日本は仲良しだったよ。
この事件、信じられないから。」
フエ
「そうだよね。私達も信じられないんだ。」高井
『リーダー。連行しました。』
無線だ。
「ちょっと行ってくる。
何か食事を」高井
「あっ、私が。」
若いママが手伝ってくれるようだ。
その間、フエさんが赤ん坊を抱いた。
「かわいいね。」
フエ
「微笑みに癒されるぅ。」
ヨーコ
この外は、まだ地獄だ。
セミの声がする。
外は晴れたか。