45 戦争に嵐 | クーカーの 笑説

クーカーの 笑説

コメディ小説を書いてます。

小説ほど難しくなく
コントほど面白くない
クーカーの笑説
1ページ1分くらいです。
サクサクと読んでくださいませ。

深夜、日付が変わろうとしている。

≪リリーン、チリチリン≫

時報の代わりに鈴の音色が聞こえた。

軒下の風鈴だ。

風が強くなったのを知らせてくれた。


台風だ。

昼間のテレビで天気予報が伝えていた。

こんな日に出撃した自衛隊を可哀想に思っていた。
あれから半日過ぎた。

自衛隊は帰って来ないのだろうか?

そうだ。
沖縄の海の米軍の援護もない。

この辺りで見かけないだけで、実は壮絶な戦いをしているかもしれない。

昼間のような爆発音はしない。

嵐の前の静けさか。

風鈴の音色、ラジオの中国語だけが聞こえている。


その静けさに心臓の高鳴りが加わる。



あの戦車の砲撃したビルを思い出していた。


この地域の電話局のビルだ。

これで電話はもちろん、メールやツイッター、ラインまでシャットアウトか。

奴らは特別な通信機を使っていたな。

耳に手を当てて聞いていたから、誰かが指示を出しているようだ。

先回りや待ち伏せが無かったのは、奴らがマイクを持っていないからだ。

通信機を手に入れよう。

「おなか空いたわ」ヨーコ

「そだねー。わたし、下を見てくるね。」フエ

「ねぇ、オッサマ。」
ヨーコが肘で俺をつつく。

「奴ら、飯はどうしてるんだ?」
どこかで炊き出しがあるのかもしれない。

「ちょっと、どっちの心配してんのよ。」
ヨーコ

「え?」
あ、
フエさんに付いていけということか。