≪バタバタバタバタ≫
足音が近づく。
近い。
目の前にいる。
このまま通りすぎてくれ。
≪キィ≫
冷凍庫のドアが半ドアだった。
兵士は
見逃さなかった。
一人が、足を止める。
もう一人を呼び止めた。
≪ガバッ≫
勢いよく観音開きのドアを二人で開いた。
「………………………」
俺は黙って身を硬くした。
そして兵士は、
顔を見合せてから
路地を走っていった。
冷凍庫に入らなくて助かった。
あのとき
俺は、踏み台にした二段目の箱に全体重を乗せた。
それはキャベツの段ボール箱だった。
なんと、箱が持ちこたえず、
ズブズブと箱にめり込んでしまったのだ。
両足が段ボールに挟まってしまった。
もうこうなったら、
もう1つ段ボールを被って冷蔵庫の脇に伏せていた。
とにかくやり過ごすことができた。
昔、メタルギアというスパイゲームをしていて良かったと思った。