24 タンク | クーカーの 笑説

クーカーの 笑説

コメディ小説を書いてます。

小説ほど難しくなく
コントほど面白くない
クーカーの笑説
1ページ1分くらいです。
サクサクと読んでくださいませ。

街中を戦車が走っている。

何故か不思議ではない。

そうか。
こんな、非日常を映画で観ていた。

最近のコンピューターグラフィックスの進歩のせいだ。

確か…去年の
アメリカ版の
ゴジラ対キングモスラのシーンだ。

バーチャルがリアルを超えていた。
まるで、こんな世界を体験済みに感じてしまう。

しかし、これはリアルだ、本物だ。

作り物でも、物語もない。

「テレビもダメみたいね。」
彼女の声だ。

テレビなんかダメに決まってるじゃないか。

彼女はカバーを剥いたスマホをこちらに見せている。

そうか、スマホなら見える。

早速俺はテレビのアイコンを押した。

彼女は、iPhoneイレブン

俺はアンドロイドの機種だ。
試す価値はある。

「どう?」
彼女はスマホをあちこちに向けていた。

ダメだ。
チャンネルは合っている。

どのチャンネルも白い画面だ。

スマホのせいじゃないな。

放送がされていない。

この緊急時にニュースも流さない。

彼女もスマホをしまい、しばらく沈黙になる。




「ジェイアラートです。
ジェイアラートです。

只今、北朝鮮 から 3 機の 飛翔体 を確認しました。」

唯一の情報を得たのは、町内放送だ。

途切れ途切れの電子音声だった。