25 飛翔体接近 | クーカーの 笑説

クーカーの 笑説

コメディ小説を書いてます。

小説ほど難しくなく
コントほど面白くない
クーカーの笑説
1ページ1分くらいです。
サクサクと読んでくださいませ。

途切れ途切れの電子音声

これは誰かが原稿を読んでいる訳ではない。
そう感じた。

政府発行の原稿データを町内放送でアナウンスしているのだ。

続けてサイレンが鳴った。

サイレンにキャタピラー音に爆発音

もう、いつもの景色ではない。

心臓は飛び出しそうだ。



とにかく

飛翔体とは何だ?

ミサイルだろう…もし、核弾頭なら


核ミサイルが3機

あと数十分で、日本は消滅か。

俺は

俺も、彼女も、あの兵士も
すべて熱で蒸発するのだろうか。

メシア様の助けが必要に、

「た、助けてくれー」
突然の外の叫びに驚いた。

叫んだ男が見える。

今、兵士に襟を掴まれひざまづかされていた。

ひびが入ったショウウィンドゥがモザイクのようだが、その塊の1つにスマホをぴったり置いた。

カメラのアイコンをタップ
すかさずズームする。

男の顔がはっきり見えた。

食堂で見たサラリーマンではないか。

首にはもう、首輪をされていた。

彼のキャリーバッグは遠くに蹴飛ばされていた。

もう1人の兵士が走ってきて、彼の足を縛り上げた。

向こうの車線にはバスがいた。
観光バスを適当に黒で塗った感じだ。

二人の兵士に担がれ、バスに運ばれていく。

その後、何人も同じようにバスに運ばれた。

ある1人はバスのドアに入るまいと抵抗している。

とにかく力が強く兵士も四人ががりだ。

1人の兵士は殴り倒されている。

いいぞ、がんばれ
俺はスマホの画面の彼を応援する。

しかし、決着はすぐに着いた。

倒された兵士は腰から何かを外した。
警棒ではない。
スタンガン…いや
小さなものだ。

それを彼に向けた瞬間

彼は首輪を押さえて苦しんだ。

あの首輪…まるで、悟空リングではないか。

首輪のランプが赤で点滅している。

「あっ、見て、バスも」
いつの間にか隣で同じことをしていた彼女。

iPhoneイレブンの画面はバスの窓を撮っている。
すべての窓にカーテンがされていた。
しかし、中では赤いランプがそこらじゅうで点滅している。

あの兵士の付近の首輪は一斉に作動していた。

バスは、苦しんでもがいている捕虜たちでギシギシ揺れだした。

「ひどい!!」
彼女は震えている。

すぐに逃げなくては。