保健室までたどり着いた。
歯で口の内側を切った。
保健の先生としてもガーゼを口に入れるしかない。
水道のそばに椅子を置いて座る。
………ズー。プッ
……ズー…ズー。プッ
ガーゼに溜まる赤い唾液を出す。
その間、口を切った経緯を聞かれる。
しゃべれないので1番目の
口の内側を噛んでしまった?
もうそれでいい。頷いた。
保健の先生は、私の頬に上履きの靴底の模様が小さく付いているのに気付いたのだろう。
そこからは、
あなたはもっと男らしくしなさい。
栄養を取って身体を鍛えなさい。
と説教だ。
口を噛んだことにしといてよ。
早くここを出たい。
戻って廊下の血を拭きたい。
アシェラさんに申し訳ない。
血を拭いてもらったことがじゃない。
彼女は
私の菌に感染したかのように、避けられてしまう。
それが一番イヤだ。
私はいい。
私はどうでもいい。
早く出よう。
ペコリと先生にして
出口に早歩き
しかし、雑巾を持った彼女が立っていた。
追いついてしまったのか。
泣きそうな私に
「クチ、イタクナイカ?
ダイジョブカ?」
私を覗き込んだ彼女
涙が溢れてしまった。
どうしていいか。
私は逃げてしまった。
保健の先生が彼女に頷いた。
ピンクの雑巾は先生が処分してくれるようだ。