不眠症や嘔吐、私は痩せた。
学ランのサイズはそのままでスカスカする。
この時期は寒い。
ガリガリで震えてるヒナ鳥のような私は、いじめてくれオーラを出してるのだろう。
ぶつかったフリをして突き飛ばしたり、私が歩いている前で突然ダンスを始めて蹴りをくれたり。
血を流すこともあった。
私が困れば困るほど、周りのみんなは気づかないフリをする。
まるで透明人間にでもなったかのようだ。
口から垂れる血を押さえ、保健室に歩く。
その遥か後ろで
指の隙間から滴り落ちた血のしずくを拭いている生徒がいる。
四つん這いで、廊下の赤い点を探しては、ピョコと進み、雑巾で拭いている。
階段の鏡で気づいたのだ。
振り返って頭を下げる。
しかし、大きめな赤い点を作ってしまった。
保健室に急いだ。
顔は見えなかった。
でも誰かはすぐに解る。
ちぢれだ毛、黒い肌
三宅アシェラさんだ。
ごめん。
私に構わないで。